日常




 これはいつもと変わらない日常だった。




『ねえ一緒に遊ぼう』




 はずだった。




『遊ばねえし』




 初めて見たあいつの冷たい顔。

 それに似合う冷たい言葉。

 昨日まで一緒に遊んでいたのに意味がわからず、去って行く背中を追いかけて、何度も何度も遊ぼうと言ったけれど、あいつは走って私から離れて行った。

 小学校の昼休みの出来事だった。




『ごめん。ちょっと。さ』


 学校から家に帰ってくると、あいつが遊びに来た。

 もう、みんなの前では話しかけてこないでくれって。

 遊ぶならもう家の中にしようって。

 外では遊べないって。

 女子のおまえとは。

 そう言ってから、少しずつ少しずつ、あいつは私から離れて行った。




 女子と男子の線引き。

 思春期を迎えた男子であるあいつは、女子である私と遊ぶことを恥ずかしいと思ったのだ。











(2024.1.17)



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