第16話 イリスのネトリ泡洗い奉仕(上)♥

 案内されたのは、豪華な浴室の様な部屋だった。


「ここは沐浴場です。掟により、毎日体を清めることが推奨されております」


「素晴らしい掟です」


 流石は金持ちの沐浴場だけあって、防水の石畳にタライと小さなイス。一応、必要なものは全てある。


「では俺が代行いたします。アブドル様は、そちらでご覧になっていたください」


「ふむ。ではイリス、入りなさい」


「はい、ご主人様」


 アブドルの命により、頬を赤めたイリスがゆっくりと入室する。


 流石に廊下を下着姿で移動するわけにもいかなかったので、先ほど着ていたローブを羽織っている。ただ頬だけは、熱病を患っているかのように赤い。


「脱ぎなさい」


「・・・はい。ご主人様」


 ローブをゆっくりとおろす。


 中から美しい身体があらわになる。


 先ほど着てもらった黒の下着姿だ。何やら心にグッとくるものがあった。


’(重厚なローブの下に、セクシー下着か。変なフェチに目覚めてしまいそうだ)


 アブドルも同じ思いだろうか、再びあらわになったイリスの下着姿をじっと見つめている。


「俺も脱ぎましょう。イリスさん、手伝っていただけますか?」


「イリス、手伝いなさい」


「・・・はい、わかりました、ご主人様」


 そういうとイリスは、俺の服をゆっくりと脱がせてくれる。


 主人からの視線が注がれる。


 そのためかイリスの表情は硬く、腕は小さく震えていた。


 それでも丁寧な手つきで、次々と衣服を脱がす。おそらく、毎日アブドルの着替えを手伝っているのだろう。手つき自体は、慣れたものだ。


「うっ・・・」

 

 イリスの手が止まる。残るはトランクス一枚だ。

 

 ちなみにこの世界の男性用下着はフンドシらしい。


「どうしました? 手が止まっていますよ」


 俺が少々意地悪く、イリスに催促する。


「はい」


 観念したのか、イリスは床に膝をつけると、たどたどしい手つきで俺のトランクスをつかみ、下におろす。


「あっ!?」


 イリスが思わず小さく叫ぶ。


 俺の一物(異世界なのでエクスカリバー()と呼称する)が、イリスの眼前でピョンと跳ねたのだ。 


 イリスの下着姿と可憐な姿に、俺は早くも絶好調にあった。セイオウのジョブのせいかもしれない。


 あまりの事に、イリスの顔は真っ赤にしながら、目を背けている。


 この初々しい表情、アブドル以外の男を知らないというのは、本当らしかった。


「イリスさん。俺のモノはイリスさんが魅力的なおかげで、とても元気だ」


「・・・はい。ご立派でございます」


 膝をつき、上目遣いに恥じらいながらそんな誉め言葉を述べるイリス。


 さすがは富豪の愛奴隷。受け答えも品があり、煽情的だ。


「さて、娼館の改革案のご説明をいたします」


 俺は素っ裸でエクスカリバー()をおっ立てたまま、改革案の説明を始める。

 

 この場できちんと服を着ているのはアブドルだけなので、やや滑稽だ。服を着た状態で話を進めるべきだったが、仕方ない。


「まず娼館の現状について説明します。娼館に入店する前に、事前の沐浴が必要となっていますが、沐浴を嫌がる客が多く、衛生状態が劣悪になっております」


「ふむ。沐浴は庶民にとっては手間と費用がかかりますからな」


「その場合、娼館の娘たちが濡れタオルで体を清めておりますが、重労働なうえに、効果が薄く、問題となっています」


「また、彼女たちの待遇格差もまた、大きな問題になっております。彼女たちの価格は一番高い者は2万コル、低い者は5千コルとなります」


「ほう、随分と価格差があるのですな」


「さらに5千コルの娘の場合、そこから税と場所代が引かれ、手元には千コルしか残りません」


「まあ・・・」


 あまりの事に、イリスが息をのむ。


 豪商の女奴隷である彼女の方が、ずっといい暮らしをしているのだろう。


「価格は交渉式になっているので、立場の弱い女たちは、安く買いたたかれているのです」


「・・・・・・」


 イリスは言葉を失っている。女奴隷という立場の彼女も、状況が異なれば自分もそうなっていたのかもしれない、などと考えているのだろうか。


「俺が提案する改善案、それは彼女たちの生活を大幅に改善するためのものでもあります。そのためイリスさん、貴方の協力が必要となります」


「・・・そういう事でしたら、わたくしもできるだけ協力いたします」


 俺の目を見ながら、はっきりとした口調で答えるイリス。常に主人であるアブドルの顔色をうかがい、その意に沿った行動をしてきたイリス。その彼女が初めて見せてくれた、自らの意思のように思えた。


「この二つの問題を一気に解決するため、〝客が喜んで身を清め、高い金を支払う〟システムを導入します」


「しかしセイオウ殿、そのような都合の良いアイデアがあるのですかな?」


「まず金額に下限を設け、1万5千コルから3万コルの間に設定します。交渉は行わず、店が一方的に価格を設定します。これにより、交渉力の弱い女たちの価格低下を防ぎます」


「ふむ、だが値段が上がったら客がこなくなるのでは?」


「異世界の〝セイオウ〟である俺の技術を伝授し、付加価値をあげます。具体的には、これを使います」


 そういうと、俺は右手に魔力を込める。


──アイテムクリエイション〝ボディソープ〟──


「おお!」


「これが〝魔法〟ですか!?」


 目の前に現れたアイテムに、アブドルとイリスは驚愕の声をあげる。大商人であるアブドルさえも、魔法を見るのは初めてのようだ。


 まあ素晴らしい威力を持ったであろう他の来訪者のと比べれば〝風俗限定〟という下らない能力ではあったが。


 さらに俺は魔法を発動する。


──風俗魔法〝ホットウォーター〟──


 左手から大量に出現する大量のお湯。それはコンマ一度のずれもない適温だった。


「おお」


「お湯が、すごいです!」


 俺は驚く二人を尻目に、タライの中をお湯でいっぱいにする。体を洗ってもらうなら、やっぱり温かいお湯がいいよね。


「ではイリスさん。このタライにボディソープを垂らし、泡を作ってください。


「はい。わかりました」


 イリスは言われた通りボディソープを手にたらし、それをタライのお湯にかき混ぜる。 

 

 最初こそたどたどしかったが、しなやかで長い指を激しく動かして、直ぐにタライは泡立つ。


「すごい泡です。それに、いい匂い」


 沐浴場はバラの香りでいっぱいになる。さすがは高級ソープ店で使われるボディソープだ。 


「これでよろしいでしょうか?」


 瞬く間にタライは泡でいっぱいになる。


「大丈夫です。ではこれより始めましょう。イリスさん、下着を脱いでください」


「・・・下着を、脱ぐのですか?」


 初めて着用したほとんどヒモの様な下着でも、裸とは違うのだろう。僅かな抵抗を見せる。


「このままでは濡れてしまいますから」


 下着のまま体を洗ってくれる店もあるにはあるが、ここはセオリーに従おう。


「イリス、脱ぎなさい」


「・・・はい、ご主人様」




 

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