3-9 ミニスカポリス、チカラ尽きる
まさかリサさんのファンクラブがあるとは……。ビックリしすぎて言葉が出ない。しかも「公式お兄ちゃん」ってなんだよ。引くわー。
「フッ……ようやく理解したようだな。自らが犯した過ちを」
俺が呆れて物も言えないでいると、お揃いのTシャツを着た5人の中心に立つ金髪オールバックに勝ち誇った顔をされる。
「言葉も出ないか……。哀れだな、名雲優希」
というかホントに公式なのか? あんなに恥ずかしがり屋のリサさんがこんな悪目立ちしそうな集団を認めるとは考えにくい。
「今さら反省したところで手遅れだ。お前にはきっちりと罰を受けてもらう」
とりあえずリサさん本人に聞いてみるか。彼女が迷惑してるようなら、俺がコイツらにガツンと言ってやればいい。お兄さんは俺ひとりで十分だって。
よし。
そうと決まれば、とりあえずこのオフィスチェアから脱出しよう。ガムテープでグルグル巻きにされてる程度、チカラを込めれば引きちぎれるだろ。
「今日1日、この生徒会室に監禁してやる。リサくんはお前が文化祭をすっぽかしたと思うだろうなぁ?」
ふぬぬぬぬ……っと、ダメだな。
踏ん張れないってのもあるけど、思った以上に頑丈だ。今の俺ではパワー不足か……。もっと体を鍛えなければ。
「安心しろ。僕からリサくんに伝えといてやる。お前が『他の女と遊んでいた』とな。フハハハハッ……って聞いてるのか!! 名雲優希!!」
「ん? ああ、すまん。まったく聞いてなかった」
「キサマあああ!! って、おい、四葉? 何をしている?」
金髪オールバックに背を向けたマリアさんが俺の腕に巻きついたガムテに指をかける。
「お腹が空いたから、チャーハンの人と
「なっ!? そんなこと許さんぞっ!! これは会長命令だっ!!」
「会長の言うことは聞かなくていいって、サーちゃんが言ってた」
「サーちゃん?
金髪オールバックは地団駄を踏む。コイツ、もしや人望がないのでは?
「っていうか、マリアさんって生徒会のメンバーなんですか?」
「そう。計算係」
「計算……?」
会計のことだろうか?
「あと、お掃除もする。お部屋はいつもピカピカ」
「ふふっ、偉いですね」
「褒められた。嬉しい。けど、もうダメかも……」
「えっ、マリアさん?」
俺の腕に巻きついたガムテープを剥がそうとしていたエロポリスが膝の上へもたれ掛かってくる。
「お腹空いた……」
そして特盛りのオッパイが俺の太ももにムニュウウウっと押し付けられる。
ドドスコオオオオオイ――ッ!?
じゃなくて、ここでまさかの
「もう動けない……」
相変わらず癒されるなぁ〜。……って、ぐったりたわわギャルに見惚れてる場合じゃない。
「えーっと、その……。できればもう少し頑張ってほしいなー? なーんて?」
「動けない……」
「で、ですよねー……」
マリアさんの健闘も虚しく、結局ガムテープは1ミリも剥がれなかった。
「フフッ……アハハハハッ!」
金髪オールバックがここぞとばかりに高笑いする。
「どうやら万事休すのようだなぁ? 名雲優希ぃ? お前はこのままリサくんと破局を迎える運命なのだぁぁ」
コイツ、煽り顔の天才か? やられ役でオファーが来そうだ。なんて冗談はさておき……
「うーむ……」
どうしたものか?
ガララララ――ッ!!
脱出方法を思案していると、俺の後にある部屋の引き戸が開け放たれる音がする。と同時に、金髪オールバックが驚愕の表情を浮かべる。
「なっ……!? どどど、どうして
尋常ではないヤツの焦り具合に振り返って見ると、そこにいたのは――
「お兄さん、無事ですかっ!?」
扉を開け放って息を切らす俺の恋人――妹ギャルこと雨宮リサさんだったわけだが……
「エロサキュバスッッッ――――!?」
小悪魔風のコスプレ姿がどちゃシコ万歳だった。
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