4人目のギャル「四葉マリア」

3-1 ギャルの性欲に圧倒される、夏

 1泊2日の海水浴旅行も無事に終わり、1週間ほどが経過した8月12日月曜日。午前11時過ぎ。


 俺の部屋のローテーブルの前に座る美人ギャル――月城ミサキさんが足を投げ出してブゥーと頬を膨らませる。


「遊びに行きたいんだけどおー」


 駄々をこねる親友に対して妹ギャル――雨宮リサさんがジト目を向ける。


「ミサキ。夏休みの宿題やらないと、先生に怒られるよ」


「学校始まる前に、マリアに見せてもらうから余裕なんだけどー」


「ダメだよ! 自分でしなきゃ!」


「リサってば、ギャルなのに超真面目じゃーん」


「ミサキが不真面目なだけでしょ!」


 2人の言い合いを見かねた巨乳ギャル――藤咲アヤネさんが俺に色気漂うタレ目を向けてくる。


「私たちが宿題を進めるごとに、何かご褒美をもらえるっていうのはどうかな?」


「そうですね……。じゃあ、一区切りつくごとにキスをしましょうか」


「いいですね! それ! 宿題がにご褒美のキス!」


「え?」


「じゃあするうー♡」


「え?」


「よかったね、オジさん」


「え?」


 28歳の誕生日を迎えたばかりの俺――名雲優希なぐもゆうきは3人のギャルに仲良く『シェア』されている。


 お盆休みを利用して、現役女子高生である3人の宿題を済ませてしまおうと考えていたのだが……


「オッサン、チューしよー」


「え? まだ1問も解いてませんよ?」


「頑張ろうのチューなんだけど」


「頑張ろうのチュー?」


「はーやーくー。リサとアヤネも待ってんだからさー」


「し、仕方ないですね。ちゃんと勉強してくださいね」


「するするう〜。じゃあ、目えつぶってー」


 ミサキさんに言われたとおり目を閉じる。


「はい、どうぞ」


「よろしい。じゃあ、ちゅうう……と見せかけて、ディープキスなんだけど!」


「えっ!? ちょっ――んんっ!?」


 俺の口の中でミサキさんの舌が暴れる。


「んむっ、んむっ……んちゅっ、んちゅっ」


「あ、ミサキ、ずるーい! 私もディープキスにしよーっと」

「私もー」


「んんんんっ!?」


 その後、俺の口内は3人に立て続けに犯された。もうお嫁に行けない。というか、まだ宿題を始めてもいないのにこの状況とか先が思いやられるぞ……。


「じゃあ、勉強始めっか!」


「おおー!」

「おー」


 まあ、やる気は十分みたいだし、俺もできる限りのサポートをしよう。



 30分後。


「ねえねえ、チューしたいんだけど?」


「さっきしたばかりじゃないですか。そのページが終わってからです」


 5分後。


「あの、お兄さん? お尻にオチンチンが当たってるんですけど?」


「膝の上に乗りながら宿題されたら誰でもこうなりますって。ほら、勉強に集中してください。ちゃんと集中してたら、例えば、こーんな風に下から突き上げられても気になりませんから。ほーらほーら」


「あっ♡ やんっ♡ もぉ〜、お兄さんったらぁ〜♡ エッチな気分になっちゃうじゃないですかぁ〜♡」


「なら、早くその問題を解いてくださいね。でないと、もーっと激しくお尻を攻めちゃい――」


 ゴンッ!!


 500ミリペットボトルの角で頭を殴られる。痛い。


「おい、真面目に勉強教えろよ? オッサン?」


「……あ、はい」


 さらに5分後。


「ねえ、オジさん? この問題なんだけどさ」


「ん? どれですか?」


 モニュ


「アヤネさん、もしかしてノーブラですか?」


「そっ♡ 一発でバレちゃったか。さすがオジさん。ちなみに、バストトップはどこでしょう?」


「そうですね……。俺の大好きなピンク色の乳首はこの辺りに――」


 ゴンッ!!


 教科書の角で頭を殴られた。超痛い。


「真面目に勉強教えろっつったよな?」


「……あ、はい」


 そんな感じで初日こそ脱線が多かったが、3人とも真面目に勉強に取り組んでくれたおかげて、お盆休みの間に宿題を終わらせることができた。


「お母さんとお父さんがねー、超褒めてくれたんだけどおー!」


 と、3人の親御さんにも喜んでもらえて、彼氏としては嬉しい限りである。ポイント稼ぎも順調だ。フフフフ。


 そして8月も後半に突入し、お友達と遊びまくっている3人を少し羨ましくも思いながらも、平日は職場でせっせと仕事をこなし、土日は部屋でせっせと腰を動かした。


「6回戦もなんか余裕になってきたなー」


 と、ムスコの成長を感じずにはいられない夏休み期間の最終日。


『有給取っといてねー。夏休み最後の思い出作るからー』


 なんて言われていたので何をするのか楽しみにしていたら、目的地はいつものラブホだった。


「あーしらは『48手制覇しないと出られない部屋』に監禁されました。今から色んな体位に挑戦して、脱出を目指したいと思います!」

「頑張るぞー!」

「おー」


「ん? 出られない部屋?」


「では、あーしから。ジャラララララ……ジャン! 出ました、12番! 茶臼ちゃうすのばし、です!」


「え? どんな体位? って、あっ、ちょっと!? あぁぁぁぁっ――――」




 それが今年の夏の最後の思い出だ。


「いやー、あの時はマジでスッカラカンになったなー。汗と体液の量がヤバかったし。はぁ……」


 出られない部屋――を無事に脱出してから2週間ほどが経過した9月6日金曜日。18時過ぎ。ビジネスバッグ片手にスーツ姿で駅の構内を歩きながら溜め息が出る。


 果たして俺はあの3人の性欲を満たしてあげることができるのだろうか? というか、もうひとり増えて『5P』なんてことになったら、俺はいったいどうすりゃいいんだよ……


「って、さすがにそれはないか。さあ、買い物買い物」


 いつも通り駅前のスーパーへと向かう。といっても、目的は明日3人に振る舞う料理に必要な材料の調達だ。


『2週間くらいお部屋に行けないから、オッサンの手料理、いっぱい食べたい!!』


 というリクエストがあったから、腕によりをかけて作ろうと思っている。


 秋の訪れを感じ始める9月といえば、高校生にとって年に一回のビッグイベントがある。


 そう、文化祭だ。


 来週から準備が忙しくなるらしく、いつものように放課後、俺の部屋で一緒に過ごすことができなくなるそうだ。


 3人とも寂しがっていだが、俺としては今しかない学校生活を優先してほしいし、時間を合わせて車で送り迎えはするつもりだから、まったく会えないというわけでない。


 それでも「寂しくて堪らない」と言ってくれるのだから彼氏冥利に尽きる。明日明後日の土日は3人のことをうんと可愛がってあげようと思う。


 エッチのジャンルはもちろん、3人をたっぷりと甘やかす甘々のヤツ。間違っても、48手全制覇を目指すような無茶なセックスはしな――


 ピロンッ


 スーパーの入口へ到着したところでメッセージが届く。


ミサキ

【お仕事お疲れまさま〜♡】

【今どこぉ?】


 おっと、新妻ギャルから連絡だ。


【駅前のスーパーに着いたところでちゅ〜♡】


ミサキ

【やばっ笑】

【キモっ笑】


「……」


 くそう。甘々に引っ張られて打ち間違えた……。

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