2-7 パンティ&ブラ<すっぴん

 俺という大切なお兄ちゃんをオモチャにされて、すっかり拗ねてしまったリサさんを膝の上に乗せ、機嫌直しの接待テレビゲームを1時間ほど楽しんだ。


 時刻は18時半になっていたので、夕食の『野菜たっぷり冷しゃぶ』を手早く作った俺は、食事をトレーに乗せて部屋へと戻る。


 再びリサさんを膝の上に乗せ、19時台のバラエティー番組を4人で楽しみながら夕食を食べ終わった頃には妹の機嫌もすっかり良くなっていた。


 俺は3人のギャルを部屋へ残し、キッチンでひとり鼻歌混じりに食器を洗い始める。


 これから毎日、女子高生のフカあまボディ(フカフカで甘い匂いのする体)を抱っこしながら部屋で過ごせるとか最高じゃん!


「体型も匂いも違うギャルの体を日替わりで楽しんだりしてな〜♡ やばぁ♡」


 皿洗いも捗る〜捗るう〜♩


『ピピピ オフロガ ワキマシタ』


 給湯器のお知らせだ。俺はいったん後片付けの手を止めて、3人がくつろぐ部屋の扉を開ける。


「3人ともお〜♩ お風呂が沸きまし――フゴッ!?」


 俺の顔面にピンク色のクッション(ミサキ専用)が直撃する。


 なにごとッ!?


「もおおお!! 信じらんないんだけどおお!! ノックぐらいしてよ、オッサンんん!!」


 なんかめっちゃくちゃ怒ってるし、なぜ家の中でノック??


 謎を解くために部屋の中を確かめようとすると、荒ぶるミサキさんが紫色のクッション(アヤネ専用)と水色のクッション(リサ専用)で追撃を仕掛けてくる。


落としてんだから、見るなっつーのおお!!」


「すいませんッ!?」


 俺は慌てて部屋の扉を閉める。


「あーしらが風呂入るまで、オッサンはトイレに入ってて!!」


 扉越しに怒鳴られる。


「えっ、トイレ? なんで?」


「なんでって、見られたくないからに決まってんじゃん!!」


 スッピン?


「お泊まりするんですから、見られるのは仕方ないんじゃあ……」


「彼氏にスッピン見られるとか、絶対にヤなんだけどおお!!」


 扉にクッションがぶち当たる。ギャルが荒ぶっている。


「ごめんね、オジさん」


 アヤネさんが扉の向こうから声をかけてくる。


「3人とも彼氏の前でスッピンになるのは初めてだから、ちょっと恥ずかしかったりするんだよね。とりあえず、ミサキの言うとおりにしてくれる?」


「分かりました……」


 何となく事情が飲み込めた俺はトイレに入って扉を閉める。


 いくら経験済みだといっても彼女たちはまだ年頃の高校生。男の前でスッピン顔を晒したことがないなら、抵抗があって当たり前か。


 成人同士のカップルだと彼女のスッピンなんて当たり前なところがあゆから、ついうっかりしていた。


 トントン


 便座に座りながら頬杖をついていると、トイレの扉が叩かれる。


『オジさん? パジャマ適当に借りるね?』


 アヤネさんの声だ。


「はい。好きな物を着てください」


『今から3人でお風呂に入るから、部屋に戻ってくれていいよ』


「わかりました。あ、そうだ。棚に入浴剤があるので良かったら……って、3人だと浴槽に浸かれなくないですか?」


『くっつけば大丈夫。実証済み』


「それは良かった」


 湯船に女子高生3人分の新鮮エキスが滲み出てると思ったら、なんかエロいな。


『あと、その……』


「はい、どうかしましたか?」


 アヤネさんにしては珍しく言いにくそうにしている。


『あのね……お風呂上がりに私たちのスッピン見ても、ガッカリしないでね?』


 ああ、そういうことか。


「ふふっ」


 彼女の自信なさげな声を聞いて、自然と笑みが溢れた。


 普段は怖いもの知らずなところがある彼女たちも、素顔を見られることに対してはずいぶんと臆病になるんだな。


 そのギャップがおかしかったし、何よりとても愛おしく思えた。


「安心してください。ガッカリなんてしませんから」


『笑うのも禁止だからね、オッサン!』

『絶対の絶対ですよ!』


 どうやらミサキさんとリサさんも扉の向こうにいるらしい。扉越しに3人の不安が伝わってくる。ここは彼氏として一刻も早くその不安を取り除いてやらねば!


「心配しなくても大丈夫ですよ」


 俺はなんの前触れもなく扉を開け放ち、トイレの前に仲良く並ぶ3人のギャルと対面する。


「だって、ほら。3人とも、とっても素敵なじゃないですか」


 3人とも素肌に潤った透明感とツヤがあり、どこに出しても恥ずかしくない『スッピン美人3姉妹』である。


「……って、あれ?」


 どういうわけか、3人の素顔が引きつったまま固まっている。


「あの……? どうかしましたか……?」


 スッピン3娘からの返事はなく。代わりに、どこかご立腹な様子のミサキさんが両手で掴んだお風呂ポーチを頭上へ掲げる。


「あの……?」


 これはいったい、どういうことだってばよ??


 トイレの扉を開け放ったまま立ち尽くす俺の顔面めがけて、ギャルのポーチが振り下ろされる。


「まだ心の準備、できてねえーからあああああああ!!」



「怒られてしまった……」


 部屋でひとりテレビを見ながら額をさする。


 スッピン顔は見てもいいよ――ということだったらしい。女子の……いや、ギャルの気持ちって難しい。


 3人が入浴を始めてから40分ほど経ったころ、脱衣所が騒がしくなる。それからすぐに部屋の扉が勢いよく開け放たれる。


「スッピンギャルが風呂から上がったぞい!」


「あ、おかえりなさ……ってミサキさん!? ズボンはどうしたんですか!?」


 男物のTシャツをタボっと着たミサキさんは太ももから下が丸見えで、寝巻きのズボンは履いていないように見える。


「フフフッ……見たい?」


「え? ま、まあ……」


 彼女は面食らう俺を見下ろしながらニヤリと笑うと、Tシャツの裾をガバッとめくってみせる。


「見て見て〜♡ オッサンから貰った見せパ〜ン♡」


「おおっ」


 Tシャツの下から現れたのは俺が彼女に初めてプレゼントした『学校に履いていく用のヒョウ柄見せパン』だった。履いてる姿を生で見るのは初めてだ。普通にエロい。


「ちなみに、見せパンの下には『赤のTバック』を履いてます」


 なん……だと……?

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