1-28 オッサン、ラインでやらかす。…あ、オワタ(後編)

「正直に言おう」


 俺はテーブルへ戻りスマホと向き合う。


「とりあえず、アヤネさんからだな」


 今の三角関係を一応は認めてくれてるし。


【すいません、今ミサキさんともラインしてます】

【返信先を間違えてしまったみたいで……】


アヤネ

【別に謝らなくてもいいって】

【正直に答えてくれてスッキリした】


 やっぱ、アヤネさんは天使だなぁぁ。


アヤネ

【あの子の名前、ミサキっていうんだ】

【で】

【明日、その子と水族館デートってところ?】

【へえー、そっかそっか】


 あ……あれ?


【怒ってますか?】


アヤネ

【別に怒ってないって】

【明日の夕方はウチへ来てくれるんでしょ?】


【それはもちろん!】


アヤネ

【絶対だからね】

【お母さんと一緒にオジさんが喜ぶおもてなしするから】


【おもてなしとは?】


アヤネ

【え? それはほら】

【裸エプロン……とかかな?】


 ははは、裸エプロンんんッ!? GカップとHカップ、夢の共演で裸エプロンんんッ!?


【絶対行きます!】


アヤネ

【やっぱしない】


【え? なんで?】


アヤネ

【つい言っちゃっただけだから!】


【ええー】


アヤネ

【てか、お母さんがするわけないじゃん!】


【アヤネさんはしてくれるんですか?】


アヤネ

【え?】

【まあ、ちょっとぐらいなら】


【じゃあ、お礼にお尻ペシペシしてあげますね笑】


アヤネ

【しなくていい】


【本当にしなくていいんですか?】


アヤネ

【……】

【じゃあ、ちょっとだけ】


【さすがドM笑】


アヤネ

【うっさい!笑】


 楽しいいいいいい!!


アヤネ

【あの子ともラインしてるんでしょ?】

【こっちはもういいから、あとはあの子としてあげて】

【明日〇〇駅に夕方6時ね】

【おやすみ♡】


【わかりました】

【おやすみなさい♡】


「いやぁぁ、アヤネさんってホント天使だなぁぁ」


 って、浮かれてる場合じゃない! ミサキさんにも謝らないと! 俺は緩み切った顔を引き締める。


【ミサキさんの言うとおり、他の人ともラインしてました】

【返信先を間違ったみたいで……】


ミサキ

【やっぱり】

【おかしいと思ったんだよね】


【すみません、混乱させてしまって……】


ミサキ

【別にいいよ】

【あーしもたまにやっちゃうし】

【正直に言ってくれてありがとね、オッサン】

【けど、返事遅かったから罰ゲームね】


【え? 罰ゲーム?】


ミサキ

【そお、罰ゲーム!】

【明日、あーしがチューしたいって言ったらチューすること!】

【ヤダって言うのは禁止ね】


 ギャルの罰ゲームがご褒美すぎるんだが?


【わかりました】

【チュッ♡】


ミサキ

【明日って言ったじゃん笑】

【チュッ♡】


【わかりました】

【チュッ♡】


ミサキ

【オッサン、キス魔だな笑】

【チュッ♡】


【ミサキさんこそ】

【チュッ♡】


ミサキ

【全然終わんないんだけどおー笑】

【チュゥゥゥゥ♡】


 楽しいいいいい!!


【そろそろ寝ましょうか?】

【明日のデート、楽しみにしてますね】

【おやすみなさい、ミサキさん】


ミサキ

【ラブラブすぎて寝れないんだけどおー笑】


【ちゃんと寝てくださいねヾ(´ᵕ`*)ヨシヨシ】


ミサキ

【にゃん♡】


「ミサキさんも天使じゃん!」


 2人ともいい子すぎて、どっちかひとりなんて選べないよお〜! 俺はベッドへダイブして足をバタつかせる。


「よし! 決めたぞ!」


 とりあえず明日は天使たちとの休日デートを思いっきり楽しもう! 先のことを考えるのは、来週……そう! 週明けからにしよう! うん、そうしよう!


「そうと決まれば、今日は早く寝よーっと♩」


 俺は鼻歌混じりに寝支度を調えていく。


「明日も2人とデートできるとか最高だなあー♩」


 俺はベッドへ横になり、それはそれは晴れやかな気持ちで眠りにつくのだった。



 翌朝。

 俺のスマホに一件のメッセージが届いていた。


ミサキ

【今日、ファミレスに11時集合な?】

【ぜってー来いよ?】


「……」


 ギャルがヤンキー化してるんだが?

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