1-57 あーし、爆発しちゃうって

「みんなに伝えておきたい話があるんですけど」


「どったの、オッサン? 急に?」


 俺の両隣に座っていたアヤネさんとリサさんに続いて、ミサキさんが正面に女の子座りする。不思議そうに俺の顔を見つめる大切な恋人たちに向けて話し始める。


「3人とも学校は楽しいですか?」


「もっちろん!」

「まあ、勉強は大変だけどね」

「確かに」


「ふふっ、そうですね」


 俺が3人の頭を順番に撫でていくと、彼女たちはとても幸せそうな顔をしてくれる。


「俺、3人には高校生活をうんと楽しんでもらいたいんです。お友達と一緒に遊んで、勉強して、学校行事にも参加して……一生に一度しかない、かけがえのない時間を大切にしてほしいんです。だから、万が一にも在学中にするようなことがあってはならないと……って聞いてますか?」


 3人はキョトンとしている。俺は慌てて要点を伝える。


「つ、つまりはですね! エッチは高校を卒ぎょ――」


「もおー、オッサンが珍しく真面目な顔して話すから、ちょっとビックリしたじゃーん! 普通にの話かよッ!」


 ミサキさんが楽しげに鋭い突っ込みを入れてくる。普段の俺って、そんなに締まりのない顔をしているのだろうか?……って、今はそこじゃない!


「安心してよ、オジさん。ちゃんとコンドームで避妊はするからさ」

「学校で習いましたもんね」


「いや、それはもちろんなんですけど、念には念を入れましょう」


「念を入れるって?」


「それはですね……」


 俺は3人の体を両手で優しく包み込み、ありったけの愛を込めて伝える。


「ラブラブエッチは高校を卒業するまでお預けにしましょう。もちろん俺も我慢します」


 この子たちにどれだけキスされようとも我慢してみせる! もちろんエッチなお店にも行かない! 俺は必ずやり遂げてみせるぞ! 3人全員と真剣交際だってことを認めてもらって、将来は3人一緒に――


「はあ? 卒業するまでお預け? オッサン、何言ってんの?」


「え……?」


 3人のギャルが下から突き上げるように睨みを利かせてくる。俺の激カワ天使たちはいずこへ?


「卒業まで待ってたら、あーししちゃうって」


 爆発っ!?


「オジさん……いくらなんでも、それはないって。キスだけで我慢できるわけないじゃん」


「じゃあ、その……年に1回……とか?」


「お兄さん……誕生日のプレゼントじゃないんですからね」


「うえっ……じゃあ、月に1回……とか?」


「だから、あーし爆発しちゃうって」


 なにが!?


「えっと……じゃあ……その……」


 俺が答えあぐねていると、3人のギャルがズイッと顔を近づけてくる。

 

「オッサン!!」

「オジさん!!」

「お兄さん!!」


「わかりましたよ!?」


 こちらが折れるしかない。


「しゅ……週に1回!! それも、安全日ならシテもいいことにしましょう! それでどうですか?」


「まあ、それなら……」


「必ずゴムはつけること! 1人1日1回までにしましょうね!」


「ええー! 2回ぐらい、いいじゃん!」


「じゃあまあ、2回までなら……」


「チュウは好きな時に好きなだけしてもいいんですよね?」


「えっ、チュウ!?」


「いいですよね!! お兄さんん!!」


 妹の圧がハンパない。


「ま……まあ、チュウは別にいくらしても構いませんけど……」


「チューは、し放題!!」

「いえーい!!」

「いえーい」


 3人は嬉しそうにハイタッチする。


「これは……」


 この子たちが部屋へ遊びに来るたびに今日みたいな唾液まみれな展開になったりしないよな? 毎度毎度あんな気持ちのいいことされてみろ? 俺の股間が耐えられないって……


「じゃあ、それで決まりってことでいい?」

「異議なーし」

「異議なーし」


 アヤネさんが決を採り、ミサキさんとリサさんが仲良く挙手する。キスし放題法案が可決されてしまった。我慢できなくなれば、今日みたいにトイレにこもって処理するしかない。

 

「とりあえず、安全かなって日をカレンダーに書き出してみましょうか?」


「いいじゃん! やろやろ!」


 3人はスマホのアプリを確認しながら壁掛けカレンダーに横向きの矢印を書き込んでいく。


「おおっ! できたー!」


「3人の中だと、一番最初にエッチするのはリサってことになるね」


「えっ、私……ですか?」


 リサさんはどこか浮かない表情をする。


「初めてだと心配?」


 アヤネさんが気にかける。


「あっ、いえっ……。お兄さんとのエッチに不安はないんですよ? すっごく優しくしてくれそうですし、今から楽しみっていうか」


「リサ、処女なのにスケベだな!」


「こーら、ミサキ。茶化さないの」


 アヤネさんがミサキさんの頭を小突く。


「怒られちゃった。てへっ」


 ミサキさんがチロッと舌を出す。ギャルのテヘペロいただきましたッ。


 リサさんはそんな2人のやり取りを見てクスクスと楽しそうに笑い始める。


「ふふっ、やっぱり私、抜け駆けはしたくないよー。だからさ、お兄さんとの最初のエッチはしよう!」


「ええ? リサ、さっき4Pはヤダって言ったじゃん?」


「あれはミサキが『開通式』なんて言うからでしょおー!」


「また怒られちゃった、てへっ」


 ミサキさんは先ほどとは違った表情でペロッと舌を出す。ギャルはテヘペロのバリエーションも豊富である。


「もー、ミサキには敵わないよー」


 呆れたように笑うリサさんはミサキさんの体に抱きつく。


「私はミサキもアヤネさんも大好きだからさ。初めてのコトをするときは、どんな時でも3人一緒がいい。遊園地へ行ったり……ドライブしたり……旅行に行ったり……もちろんエッチなことも3人一緒!」


 その言葉を聞いたミサキさんとアヤネさんはリサさんをギュッと抱きしめる。


「リサ、めっちゃいいこと言うじゃん!! あーしもそれがいい!!」


「私も賛成。だって私たちは3人でオジさんをシェアしてるんだもん。楽しい思い出も3人で一緒にシェアしようよ」


「アヤネも超いいこと言うじゃん! じゃあさじゃあさ? オッサンとの最初のエッチはいつにする?」


 3人は再びカレンダーへ目を向ける。


「みんなが大丈夫な日ってなると……ここらへんかな?」


「あっ、じゃあ、にしない?」

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