第50話 オッサン、ギャルにお仕置きのキスをす……される!?

 俺はリサさんの柔らかな唇を包み込むように口先で優しく甘噛みしていく。


「んはぁ……」


 彼女は時折り幸せそうな吐息を漏らしながら、その小さな唇を俺に委ねる。


 この甘くピュアな唇の味を知っている男がこの世に俺ひとりだけだと思うと、無性に興奮してくる。もっと味わいたい……。


「んんっ……」


 気づけば俺はより強くリサさんの唇を求めていた。口づけをしたまま彼女の体をベッドへ押し倒し、その唇へ吸い付いていく。


「んっ……んっ……」

 

 リサさんの息づかいが徐々に荒くなってきたかと思うと、彼女の小さな両手が俺の頬を押さえる。


「んぁ……」


 すると、今までされるがままだった彼女の唇がハムハムと甘噛みを始め、俺の唇を強く求めてくる。


「んはっ……んはっ……」


 初々しくも健気に頑張る唇がなんとも愛おしく、俺は無我夢中で彼女と唇を重ね合う。


「ちょっと、リサ!? 長いんだけど!?……ってか、チューがエロいんだけど!?」


 頬を染めたミサキさんが慌てた様子で俺とリサさんを引き剥がす。


「わっ!? ごめんね、ミサキ!? 全然気づかなくて……。ってか、ヤバいね! 大人のチュウ! 私、ハマりそうなんだけど!」


 リサさんはミサキさんに謝ってから、興奮気味にそう報告する。


 俺も気をつけないとな。みんな公平に接してあげないと。なんせ俺は3人の彼氏なんだから。


「すいません、ミサキさん。俺のせいです……。つい気持ちが乗ってしまっ――」


 言葉の途中で急に首へ手が回されたかと思うと、俺の口はふっくらと厚い唇によって完全に塞がれてしまう。


「んんっ――!?」


 アヤネさんの唇だった。


 息を荒げる彼女は口づけをしたまま、俺の体をベッドへ押し倒す。


「んはぁっ……ごめんね、オジさん。ビックリさせて……。けど、目の前であんなの見せられたら我慢できない……」


「すいません、お待たせしてしまって……」


 俺は覆い被さるアヤネさんの頬にそっと触れる。


「舌……入れてもいい?」


「えっ……したって? んんっ!?」


 俺が答え終わらないうちに口が塞がれてしまい、彼女の舌先が口内へ侵入してくる。


 一瞬驚きはしたものの、より強い快楽を求める俺の口はすんなりと彼女の舌を受け入れる。


 俺は目を閉じて、彼女の心地よい重みを全身で感じながら舌を濃厚に絡めていく。


 クチュクチュという粘液同士の交わる音が激しさを増す。


「ちょっ!? アヤネ、舌入れてんじゃん!? あーし、まだシテないのにいー!!」


「これが本当の大人のキス!? 音スゴっ!?」


 ミサキさんとリサさんの驚く声が耳へ入ってはくるものの、アヤネさんのキスが情熱的すぎて次第に意識がトロけていく。


「ストップ、ストップ!? アヤネ、おしまい!! 次、あーしの番!!」


 ミサキさんが俺に覆い被さるアヤネさんの体を羽交締めにして強制終了させる。


「ちょっとぉ……私、もっとオジさんにお仕置きんだけど?」


 え? 俺にお仕置きされたい……?

 お仕置きするの間違いじゃあ? 俺、後半は完全に受け身だった気がするんだけど……? 舌、ねじ込まれたし。


「順番! 今から!!」


 え? 2周目……?


「じゃあ、今度はちゃんと持ち時間決めようよ! 1人3分ずつでどうかな!」


「リサ、ノリノリじゃん! じゃあ、アラームセットするぞ!」


 ベッドへ仰向けになったままの俺を放っておいて、話がどんどん進んでいく。


「キスのお仕置きって、2周で終わり?」


「えっ、私、もっとしたいです!」


「リサ、超ノリノリじゃん! てか、オッサン、最初に言ってたでしょ? オッサンのチューするって! オッサン、ドスケベだから、たった2周で終わるわけないじゃん!」


「それもそうだね!」


「確かに」


 そういえば俺、調子に乗ってそんなこと言ったな……。というか、するにしても少し休憩させてほしい。カチカチになった股間も一度鎮めたいし。


 俺は上体を起こす。


「あの? 先にお昼ご飯にしま――」


「何言ってんの!」


 ミサキさんが俺の体をベッドへ押し戻す。


「チューのお仕置き、全然足りないんだけど!」


「いや、続きはまたあとで……」


「あーし、待てないし!」


 ミサキさんは俺の体に馬乗りになる。


「じゃあ3分だよ、ミサキ! よーい、ドン!」


 開始の合図とともにミサキさんはニッコリと微笑む。

 

「オッサン、あーし達のこと……たっぷりね♡」


「はははは……も、もちろんですぅぅ……」


 俺は笑顔を引きつらせながら答える。

 

 ――これ、完全に俺がだよな?


「オッサンも目え閉じてね? じゃあいくよ。ベロチュうううううう――――」


 ミサキさんは目を閉じると俺の口をすっぽりと覆うようにキスをした。


 このとき俺はようやく理解した。


「じゃあ次は私の番だね! 素直で従順なお兄さん、とっても可愛い♡」


 いや、3人のキスで理解わからせられたと言うべきか。


「ちょっと2人とも……オジさんの口のまわり、ベトベトじゃん」


「わっ、ホントだ。ティッシュで拭きますか?」


「ううん、このままでいい……。私の口とベロで、たっぷり上書きしてみたくなっちゃったから♡」


「アヤネ、エッロ!」



 そう……俺はようやく理解した。きっとこれが――


 『3人のギャルにシェアされる』


 ということなのかもしれないな。



 人数が3倍なら、その愛も3倍……いや、ギャルの相乗効果で9倍くらいにはなっているかもしれない。


 彼女たちの溢れる愛を俺ひとりの体で受け止めなければならないのだ。


 正直舐めていた。まさかこれほど大変とは……。


 まあ、だからといって、このシェア生活をやめたりはしない。


 とびっきり可愛いギャルたちがひっきりなしに俺の体を求めてくるとか、男としてこの上ない喜びである。


 ひとつ不満があるとすれば、やられっぱなしになっているコトだろうか。


 俺は彼女たちのオモチャではなく、れっきとした彼氏なのだ。3人にちゃんと理解わからせなければなるまい。


 俺が『逞しいオス』だってことをな! フハハハハハハッ!


「ねえ、ミサキ。なんかお兄さん、ニヤニヤしてる」


「罰ゲームだな。オッサンを『チュウの刑』に処す!」


「えっ、もう1周するの?……最高っ♡」


 すいません、理解わからせるとか言って調子に乗りました。もう許してください。

 でないと――


 俺の唇がもげちゃうって!?


「オッサン、チュうううううう」


 結局そのあと何周したかも分からない。

 30分ぐらい経ったころ、ミサキさんのお腹が……。


 グウーーーー


 と盛大に鳴り、部屋が笑い声に包まれたところで、俺はようやく解放されたのだった。


 ギャルの愛、恐るべし。

 

 

「お昼ご飯にしましょう。準備するので、3人は適当にくつろいでてください」


「準備?」


「はい。エビフライを揚げて……サラダを盛り付けて……スープを温めて……」


「えっ、もしかしてオジさんの手作り?」


「もちろん。当たり前じゃないですか。恋人に食べてもらう料理ですよ? 作りたての揚げたてを食べてほしいに決まってるじゃないですか。午前中に買い物へ行って準備しておきました」


「お兄さん、料理できるんですか! すごっ! カッコいい!」


「できるといっても、定番のモノしか作れませんよ? 休みの日にすることがなくて、なんとなく料理をしていただけなので。っと、そんなことより、油を使うので台所へは近づかないようにしてくださいね? いいですか?」


「はーい」

「はーい」

「はーい」


 3人のギャルは揃って手を挙げた。可愛い。

 いつもこれくらい素直に言うことを聞いてくれたら助かるんだけどな。



 俺が台所でエビフライを揚げ始めてから数分後。何やらヒソヒソ話が聞こえてくる。


(ねえ、パスワード4桁だって)


(4桁か……あっ、誕生日とか!)


(有り得るー!)


 あの子たちはいったい何をしてるんだ?


「ねえ、オッサン! 誕生日いつ?」


「え? 誕生日? 8月15日ですけど……?」


 台所からはちょうど見えない位置にいるので確認のしようがない。


 まあ、アヤネさんの汗だくブラジャー以外に見られて困るような物なんて特には――


【あんっ♡ あんっ♡ あんっ♡】


 俺の部屋から特大の『喘ぎ声』が聞こえてきたのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る