第47話 結成! 女の痕跡見つけ隊!

「って!? 何やってるんですか!?」


 キッチンを抜けて一番最後に部屋へ入った俺の目に飛び込んできたのは、ミサキさんとリサさんがベッドへ顔を沈めている光景だった。


「オッサンの匂いがするだね……」


「うん……の匂いしかしない……」


 ミサキさんが顔を上げて首を傾げる。


「……ん? 今、お兄ちゃんって言った?」


「え゛っ!? な、なに言ってんのミサキ!? お兄さんって言ったんだよ!? お兄さんって!?」


「ええ? そおかな……? まあいっか! 次は洗面台とトイレをしに行くぞ! リサ隊員!」


「了解であります! ミサキ隊長!」


 指で指し示すミサキさんに対して、リサさんがビシッと敬礼する。


「えっ、チェックって何の!? あっ、ちょっとお!?」


 2人は俺の言葉など耳にも入っていない様子で『うおおおお!』と雄叫びを上げながら玄関の方へ突撃していった。


 ――ギャルが手に負えねええええ!?


 女子高生と本気で付き合うと決めたものの、彼氏としてやっていけるのかちょっと不安になってきた。


 騒がしい2人の後ろ姿を見送った俺は、ベッドへ寄りかかりながら静かにスマホをいじるアヤネさんへ目を向ける。


 あの2人もこれくらい大人しくしてくれればいいのに……。


「ねえ、オジさん。一緒に写真撮ってもいい?」


 お姉さんのような落ち着きを払う彼女がスマホに目を落としながら尋ねてくる。


「写真ですか? 構いませんけど」


「じゃあここに座って」


 俺は言われたとおりアヤネさんの隣へ腰を下ろして、彼女と同じようにベッドへ寄りかかる。


「もっと顔近づけてよ」


「えっ……あっ、はいっ」


 俺は少し遠慮気味に彼女と頭をくっつける。美人すぎて未だに緊張する。


「じゃあレンズ見てニコッてしてね?」


「こんな感じですか?」


「いいかも」


 カシャッ


「うん、ベッドもバッチリ写ってる」


 アヤネさんは画面を見ながら満足そうに頷くとスマホを操作し始める。今回は間抜けな顔を晒さずに済んだ俺はホッと胸を撫で下ろす。


「今の写真、イソスタに投稿してもいい?」


「えっ……ええ、まあ……」


 小顔美人と顔を並べた写真をネットに上げられるのはあまり気乗りしないが、断る理由も特にない。


 交友関係が広いわけでもないし、知り合いの目に触れることもないだろう。


「お友達に見てもらうんですか?」


「それもあるけど、これは虫除け……っていうかのためかな」


 アヤネさんはスマホを操作しながら答える。


「芋……?」


「そう。私がオジさんと……大人と付き合ってるって信じてくれない男子がけっこういてさ。未だに告られてウザいから、そいつらに現実を知ってもらう」


「現実……?」


「そう。私はもうオジさんのモノだよってこと」


「はぁ……?」


「初めてのお家デートをこれからたっぷり楽しみます……ハートっと」


「あの、それって……」


「――ミサキ隊長おお! お兄さんは『白』ということでよろしいでしょうか?」


 元気いっぱいJK捜査隊がこのタイミングで帰ってきた。


「リサ隊員! 最後にクローゼットの中を調べましょう!」


「了解であります!」


 2人は部屋にあるクローゼットの前へ陣取る。


「あの? さっきから何を調べてるんですか?」


「決まってんじゃん! 他の女の!」


 ミサキさんが扉をバンッと開け放ちながら答える。


 ななな、なんとっ――――!?

 

「って、そんな物あるわけないじゃないですか!? ここにいる3人以外に付き合ってる相手なんかいませんって!?」


 俺はそう訴えかけるが、振り返ったミサキさんはジト目を向けてくる。


「それがホントかどうか確かめてるんだから、オッサンは黙ってて!! それともなに? あーし達に見られて困るような物でもあんの?」


「だから、ありませんって!?」


「なら別にいいじゃないですか、お兄さん。この引き出しを調べて、何も出てこなければミサキも納得しますし」


 確かにリサさんの言うとおりかもしれない。

 やましいことなど何もないのだから堂々としていればいいのだ。あの引き出しには服以外には何も――


「あっ……」


 を思い出し、急に血の気が引く。


「じゃあ、あーしは上の段から見ていくから、リサは下からね」


「わかった!」


 ミサキさんとリサさんはチェストの引き出しを開いていく。


「んんー……オッサンの服しか入ってないね。その下の段も……服だけじゃん。つまりオッサンは白で確定ですな、リサ隊員!……ん? リサ? 聞いてる?」


 ミサキさんの問いかけに返事はない。

 リサさんは引き出しを開いた状態で固まってしまっている。


 そう……彼女は目撃してしまったのだ。あの場所に大切にしまってある俺の『宝物』を。

 

「ミ……ミサキ……これ……」

 

 リサさんはジップ付きのビニール袋をつまみ上げる。


「これって……ブ……ブラ……」

 

 現れたのは上品な花柄の刺繍が施された薄紫色の『巨大ブラジャー』だった。



――――――――――――――――――

(あとがき)

とりあえず10万文字いけました(๑˃ᴗ˂)ﻭ ʸᵉᵃʰᵎᵎ

これもひとえに読者の皆様のおかげです!ありがとうございますm(_ _)m


ギャルがかわいい♩ 面白い!

と思っていただけたら、★評価をいただけると嬉しいです。

応援のほど、よろしくお願い致します(人>ω<)!


(レビューリンクはこちら↓)

https://kakuyomu.jp/works/16817330669203808703/reviews


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