3人のギャルと初めてのお家デート

1-47 ウーバーギャール♡

 ピンポーン


 7月下旬の日曜日。青空の広がる昼の12時前。来客を告げる呼び鈴が鳴る。


「はーい」


 1K 10畳の部屋の廊下に備え付けられた小さなモニターに私服姿のギャル3人が映る。


『オッサン見て見てー、ケーキ!』


 ミサキさんが嬉しそうに紙箱を見せてくる。俺の彼女は今日も可愛いさ絶好調である。


『今ならで、食べごろギャルが3人も付いてきまあーす!』


「いや、そっちがメインディッシュですね」


『オッサン、ドスケベじゃん!!』


 しまった!? 巧妙な罠だった!?


 というか、いっこくも早くこの子たちを部屋へ上げなければ。他の住人も利用するマンションのエントランスで「食べごろギャル」だの「ドスケベ」だのとこれ以上騒がれてはたまったもんじゃない。

 

 急いで解錠ボタンを押そうとしたところ、モニター越しに3人の会話が聞こえてくる。


『うぅぅ……なんか緊張してきちゃった。私……男の人の部屋に入るのって初めてなんだよね……』


『リサ、気をつけね! オッサンの部屋がイカ臭くても、イカ臭いって言っちゃダメだよ! オッサン、ああ見えてメンタルが豆腐な部分があるから』


『えっ!? 男の人の部屋ってそんなにイカ臭いの!?』


『いや、イカ臭くないから。……あ、けど、ゴミ箱はどうかな? 丸めたティッシュが山盛りとかだと、ちょっと匂うかもね』


『オッサン、超シコってんじゃーん!!』


「……」


 俺は解錠ボタンを押す。


「ひ……左手にあるエレベーターで3階まで上がってきてくださいね?」


『わかったー!!』

 

 ミサキさんが元気よく答えてギャルたちの姿がモニターから消える。


 俺は急いで部屋に置かれたゴミ箱(小)の中身を空っぽにして、窓を目一杯開け放つのだった。



 ピンポーン


 再び呼び鈴が鳴る。


「はーい」


 俺は胸の高鳴りを抑えつつ玄関の扉を開ける。


「みんな、いらっしゃ――」


 もちろんそこには、とびっきり美人な3人のギャルがいるわけで。わかってはいたものの……


 絵面、ヤバっ!


「オッサン! みんなで遊びに来たぞ!」


「あっ、はい。どうぞ上がってください」

 

 俺は扉を押さえながら3人を招き入れる。


「おっじゃまっしまーす! オッサンの部屋はどんなかなぁー? わはああ! けっこう広いじゃーん!」


 甘い香りを振りまきながら部屋へと向かったミサキさんに続いて、少し大人っぽい香りを漂わせたアヤネさんが靴を脱いで廊下を進んでいく。


「へぇー。部屋の中、けっこうスッキリしてるね」


「ええ、まあ。物欲はない方なので」


 俺は玄関から答える。


「よかったね、ミサキ。これならできそう」


 えっ、お泊まり? しかも3人で?


「……って、あれ?」


 リサさんは?


 彼女は緊張の面持ちでまだ玄関前にいた。そういえば男の部屋が初めてだって言ってたな。俺は彼女の頭に手を乗せる。


「そんなに緊張しなくても平気ですよ? 友達の家へ遊びに……というより、リサさんのお姉さんの部屋へ遊びに来たと思ってくれたらいいですよ?」


「お姉ちゃんの?」


「はい。まあ、俺の場合は『お兄ちゃんの部屋』になっちゃいますけどね」


「お兄ちゃん……」


 リサさんは俺の顔をじーっと見上げてくる。

 

「リサ! なにやってんの! 早く手伝ってー!」


 ミサキさんからの呼び出しを受ける。


「あ、うん! 今行くー!」


 リサさんが慌てて玄関へ入ったので扉を閉めると、彼女が小声で話しかけてくる。


「あの、お兄さん? たまにでいいので『お兄ちゃん』って呼ばせてもらってもいいですか?」


「え? 別に構いませんけど……。普段からお兄ちゃんって呼んでくれてもいいですよ?」


 妹の顔が真っ赤になる。


「ななな、なに言ってるんですかっ!? ミサキやアヤネさんの前で呼べるわけないじゃないですかっ!? お兄さんのバカっ!!」


 怒られてしまった。


「もおおー!!」


 大股歩きで廊下を進んでいくリサさんの後ろ姿を見て思った。


 年頃の女の子って難しいな……。


 気を取り直して部屋へ向かった俺の目に驚きの光景が飛び込んでくる。


「ちょっと、何やってるんですかっ!?」


 ミサキさんとリサさんが俺のベッドへ顔を沈めていた。

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