第39話 オッサン、ボウリング場でギャルに叱られる
「何が困るの? オジさん?」
「鼻の下伸ばして、ずいぶんと楽しそうだな……おい」
「わひゃっ――――!?」
いつの間にか目的地へ到着していた俺は、可愛い妹との同伴を愛しのギャルたちに目撃されてしまう。2人の顔が怖いったらない。
「正座な?」
「はい……」
俺はボウリング場でギャルに正座させられる。そのタイミングで賑やかな女性の話し声が近づいてくる。
「私、ボウリングなんて高校以来かも……って、隣の子たち、何やってるんだろ?」
男子高校生の次に隣のレーンへやってきたのは女子大生らしき4人グループだった。
俺たちの様子を見た彼女たちからクスクス笑いが漏れる。恥ずかしいったらない。
結局俺は正座したまま、腕を組んだギャル2人に10分ほど説教された。内容はあまり覚えていない。
だって、しょうがないだろ。
組んだ腕からこぼれ落ちそうなほど盛り上がるGカップを間近で見せつけられてしまっては、話なんて耳に入ってこない。
「お兄さん、こっち見てください」
「え?」
リサさんに声をかけられて振り返る。
「ミサキとアヤネさんもピースして。いくよー」
カシャッ
リサさんは可愛らしくピースしながら、俺たち3人を背景にスマホで自撮りした。
「あの……今のはいったい……?」
「ああ、これですか? 記念に撮っておこうと思って。タイトルは『ボウリング場で
「浮気っ!?」
「学校の友達にも送ろっと」
「絶対に止めてくださいッ!?」
「プッ……アハハハハッ」
「リサ、超面白いんだけどー!」
アヤネさんとミサキさんはお腹を抱えてひとしきり笑ったあと涙を拭う。
「リサ、あとで私とミサキにも写真ちょうだいね」
「もちろんです」
「なんか笑ったら、どうでもよくなっちゃった。……ミサキ? そろそろ勝負を始めましょうか?」
「アヤネ、やる気満々じゃん! けど、残念でした! あーし、スポーツは超得意なんだよねえー」
「あら? こう見えて私も運動は得意なのよ? いい勝負ができそうね」
「じゃあ、私は
「ん?」
「え?」
リサさんが球をゴシゴシと布で拭きながら何気なく口にした言葉に、ギャル2人はピタリと動きを止める。
「お兄さん? 私、ボウリングはあまりやったことがないので、上手くいかなかったら投げるコツを教えてくださいね?」
とりあえず許されたらしい俺は得意げに立ち上がる。
「もちろんいいですよ。お兄さんが手取り足取り、
「ふふふっ。そこまでしてもらわなくても平気ですよー」
「はははっ、遠慮しないでください。超密着レッスンで、リサさんのことを骨抜きにしてあげますよ!」
「ふふふっ。もおー、何言ってるんですかー、お兄さんったらー……警察呼びますよ?」
笑顔のリサさんはスマホに入力した110番へ人差し指をスチャッと向ける。
「はははは……ははは……ははっ、調子に乗ってすいませんっ」
「以後、気をつけてくださいね、お兄さん?」
妹ギャルはニッコリと微笑んだ。
「ねえねえ、アヤネ? オッサンとリサ……超楽しそうなんだけど?」
「うん……。私、エッチの順番はミサキに譲ることにする。みんなで普通にボウリングを楽しみましょう」
「あーし、いいこと思いついちゃった!」
「いいこと?」
「そお! エッチは2人一緒にしようよ! あーしとアヤネで、オッサンを骨抜きにしてやろうぜ!」
ミサキさんは親指をグッと立てる。
「いいね、それ。私とミサキに一緒に責められたら、オジさん、しばらく立てないかもね」
立てないどころか、たぶん昇天してしまう。
「リサ! あーし達、勝負するの止めたからさ! みんなでボウリングするぞ!」
「えっ? そうなの?」
「せっかくだから4人で勝負しない? その方が盛り上がると思う」
「じゃあ、最下位はみんなの前で
「最下位って、絶対私じゃん!?」
声を張り上げるリサさんの肩を優しく掴む。
「まあまあ、リサさん。とりあえずやってみましょうよ。案外いい線いくかもしれませんよ? 俺も真面目にレクチャーしますから!」
「お兄さん……」
「安心してください! リサさんの『変顔写真』は俺のスマホにバッチリ保存してあげますからね!!」
俺はリサさんに向かってビシッと親指を突き立てた。
リサさんのクリッとした目に涙が浮かぶ。
「アヤネさあああん! お兄さんが、私をイジメでくるううう!」
リサさんがGカップのパイパイに抱きついた。
おい! 俺のオッパイだぞ!
「よおし、よおーし。確かに、普通に勝負したんじゃあオジさんに有利かもね。何かハンデをつけましょうか」
え? ハンデ?
「じゃあ、オッサンは一番重いボールね!」
「一番重いって……」
俺は近くにあった16ポンドのボールを試しに抱えてみる。
「え゛っ!? 重っ!?」
これ、片手で投げられるのか!?
「じゃあ、試合開始ねー! あーしが始球式しまーす!!」
「いえーい!」
「いえーい!」
「えっ、ちょっ、待っ――!?」
カコンッ!!
開始早々、ミサキさんの投げた球が快音を響かせるのだった。
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