3人目のギャル「雨宮リサ」
第35話 妹ギャルは処女らしい
「シェアって、二股とは違うんですか?」
リサさんがどこか興味ありげな様子でアヤネさんに尋ねる。
「全然違うわよ。だって二股って、陰でコソコソ付き合うやつでしょ? 私とミサキは違う。全部
「それ、デートの日、絶対かぶるじゃん!」
「かぶった時はそのまま3人でデートすればいい。今日みたいにね」
「なるほどお!」
「私はミサキが一緒でも全然構わない」
「アヤネ、気が合うじゃん! あーしもね、アヤネなら全然OKだし! あっ……けどさ。3人でデートして、そのままお泊まりしたらさ……」
ミサキさんがニヤニヤ顔になる。
『
「ちょッ――――!?」
真っ昼間のファミレスでギャルが大興奮し始める。
「私もしたことない。オジさんなら、
「しっ、知ってるわけないじゃないですか!?」
「けど、見たことはあるでしょ? だってオッサン、毎日エロ動画見ながらシコってるもんね!!」
「ちょおおッ――――!?」
「昨日のオカズはギャル2人とヤッてるハーレムものだったりして」
「ふぐっ――――!?」
図星である。
「オッサン、顔真っ赤じゃん!!」
「オジさん、可愛い」
ギャル2人にからかわれて、俺はもうタジタジである。
そして俺の他にもうひとり、顔を真っ赤にしながら慌てている子が隣にいる。
「ミ、ミサキもアヤネさんも早くお肉食べちゃいなよお!? 美味しいのに冷めちゃうよお!?」
頬を赤く染めたリサさんは「まったく!」と可愛らしい鼻息を立てながら、ステーキをパクパクと食べ進めていく。
「リサも顔真っ赤だね」
「うえっ!? べ、別にそんなことありませんよっ!? アヤネさん!?」
ギャル2人の矛先がリサさんへと向けられる。
「リサはねぇー、エロトーク苦手なんだよ。いっつも顔赤くすんの」
「へえー、可愛い」
「ミサキぃ!? 私の話はもういいから!?」
「恥ずかしがることないじゃん! 苦手なのはしょーがないし! だってリサ、心も体も超ピュアだもんね!
「処女ッ――――!?」
俺は思わず声を上げてしまう。
ミサキさんのお友達だから、てっきり経験済みだとばかり思っていた。
「ミミミ、ミサキいいいい――――ッ!?!?」
顔を真っ赤にしたリサさんは勢いよく立ち上がり、彼女の絶叫が真っ昼間のファミレスにこだまする。
「落ち着きなって、リサ。ここ、ファミレスだから」
「だって……アヤネさああああん……」
リサさんは半泣き状態だ。
「わかってる。今のはミサキが悪い。人前で言っていいことと悪いことがあるもんね。ミサキはリサに謝りなさい」
アヤネさんがミサキさんの頭を軽くチョップする。
「ご……ごめんて、リサ……」
「もおー!!」
ミサキさんが困った笑顔で謝ると、リサさんは憤りながらテーブルへ顔をうずめる。
「……大丈夫ですか? リサさん?」
俺は隣でテーブルに突っ伏す彼女の髪の毛に軽く触れながら声をかける。
特に嫌がる様子はなかったので、そのまま彼女の頭を優しく撫でる。青いメッシュの入った黒髪はツヤツヤとしていて触り心地がいい。
「…………お兄さん」
「あっ、すいません。触られるのは嫌でしたか?」
「全部
「えっ?」
「そうね、全部オジさんのせい、ね」
リサさんに続いてアヤネさんもそんなことを言い始める。
「えっ、俺が悪いんですか!?」
リサさんはガバッと勢いよく体を起こすと、目に涙を浮かべながら俺を睨んでくる。
「ミサキは悪くない! 全部お兄さんのせいですからね! 公衆の面前で私に恥をかかせたこと、ちゃんと謝ってください!!」
いや、理不尽すぎるだろ?
一度アヤネさんへ目を向けるが、彼女にコクリと頷かれてしまう。
「す……すいませんでした……」
釈然としないものの、とりあえず謝った俺に対してリサさんはツンとそっぽを向いて答える。
「罰として、お兄さんには私の頭を撫でてもらいます! お昼を食べ終わるまで、ずっとですからね!」
「え? 頭を……?」
「優しくヨシヨシって! ちゃんと心を込めてですからね!」
「はぁ……」
「もちろん! デザートの時間も入ってますからね!」
「わ……わかりました……」
言われたとおり俺が頭を撫で始めると、リサさんはムスッとしながらも食事を再開させる。……なんだこれ。
「リサ、羨ましいなぁ……あーしもしてほしいなぁ……」
指を咥えたミサキさんが物欲しそうな目でこちらを見てくる。可愛らしいったらない。今すぐ頭を撫でてあげたい。
「ちょっと! お兄さん! 手が疎かになってますよ!」
「すすっ、すいませんっ!?」
この子の機嫌が直らないうちは無理そうだ。
「ふふっ」
アヤネさんがリサさんに微笑みかける。
「なんですか? アヤネさん?」
「オジさんの手、気持ちいいでしょ?」
「べ、別にそんなことありませんよ!?」
リサさんの食べるスピードが速くなる。
彼女はあっという間に料理を食べ終わると、呼び出しボタンを押す。
ソファへ踏ん反り返った彼女は「ケプッ」と可愛らしいゲップを吐いた。マジで妹にしたい。
「お待たせいたしました! お伺いしますね?」
呼び出しに駆けつけたのは、またしても店長の山本だった。コイツ……狙って来てるだろ。
山本は俺がリサさんの頭を撫でているのを見てニヤニヤしてくる。気持ち悪いったらない。
「食後のデザートをお願いします!」
リサさんがふんぞり返りながら答える。
「かしこまりましたあ! すぐにお持ちしますね!
「ん?」
「
山本がニッコリスマイルで煽ってくる。
だが突っかかるなよ俺。それこそコイツの思う壺だからな。
「いえ、俺はけっ――」
「店長さん! オッサンはね、三股じゃないんだよ! これからあーし達がオッサンを『シェア』するんだからね!!」
ミサキさんは自慢げに言ってのける。
「ちょっ――――!?」
もっとも知られたくない男に俺たちの謎の関係を知られてしまった。
「へぇー……。それってさ、みんなで仲良く付き合うってこと?」
山本の笑顔が急に曇る。
「そうだよ、店長さん! あーし達ね! みんなでデートして、みんなでオッサン家にお泊まりするんだよ!」
ミサキさんはなせか誇らしげだ。
「そっかそっか……。さすがオレの親友だ。やることがハンパない。今度じっくり話を聞かせてもらうからな……
山本はそう言い残して黒いオーラを纏いながら立ち去っていった。
山本がいなくなってすぐ、リサさんが勢いよく立ち上がる。
「ミサキぃ! ここにいる3人ひとくくりみたいに言わないでよ! 私もお兄さんと付き合ってると思われるでしょ!」
「別にいいじゃん! リサ、彼氏いないんだし!」
「よくない!」
「へえー。リサって、そんなに可愛いのに彼氏いないんだ。私が男なら絶対告ってる」
アヤネさんがリサさんに微笑みかける。
「リサってね! 理想が高いの! 学校で、しょっちゅう告白されてるんだけどさ。高校入ってから誰とも付き合ったことないの!」
「いや、別に理想が高いわけじゃ……」
「なら、なんで誰とも付き合わないの?」
「だっ、だって高校生なんて、みんなガキじゃないですか!?」
立ち上がっていたリサさんは恥ずかしそうにソファへ座る。
「まあ、その気持ちも分からなくはないけど……あっ、そーだ!」
何かを思いついたアヤネさんは軽く手を叩く。
「じゃあさ、リサもオジさんと付き合ってみたら? ほら、オジさんは
「ななっ、何言ってるんですかっ!?」
リサさんがあたふたし始めた。
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