1-20 巨乳ギャルの幼馴染がイケメン過ぎる件

「やっぱり、初デートの記念はプレゼントに限るなぁー」


 巨乳ギャルこと藤咲アヤネさんはスマホに取り付けた『紫色のビーズストラップ』を満足そうに眺める。


「オジさん、ありがとう。これでお揃いだねっ♡」


「そ、そうですねぇー。はははっ……」


 アヤネさんの行きたい場所というのはショッピングモールにあるスマホのアクセサリー店だった。


 店のあるフロアへ到着した時点で嫌な予感はしていたが、女子高生の口内エキスがたっぷりコーティングされた甘ーい飴玉で完全に脳をやられてしまった俺にはどうすることもできず……。


 いつの間にか恋人繋ぎをしていた俺たちが到着したのはもちろんストラップのコーナーだった。


「あの子は確かピンク色だったよね? じゃあ私は紫色にしようかな」


 お手当のストラップを手に取ったアヤネさんは俺にお願いしてきた。


「初デートの記念にね、私にプレゼントしてほしいなー」


 美人女子高生に前屈みの上目遣いでお願いされては断れるわけもなく――


「はい、オジさん。クレープ、あーん♡」


「あ……ああーん」


 現在、俺はショッピングモールのベンチに座りながら巨乳ギャルに餌付けされている。クレープが普段の5倍くらい甘い。自然と顔が緩んでくる。


 こんな姿、とてもじゃないがミサキさんには見せられないな。とは思いつつも……。


「連絡先も交換したし、これでいつでもオジさんと話せるね♡」


「そうですねぇぇぇ」


 クレープを食べ終わる頃にはガッツリ腕組みなんかされて、もう彼女に夢中である。


 だって仕方ないだろ? 軽く腕を組まれただけで、フワッフワのマシュマロおっぱいがワイシャツ越しに触れてくるのだ。男なら誰でも落ちちゃうって!


 はっきり言って彼女をこのままお家へお持ち帰りしたい。けど、俺にはミサキさんが……。一体、どうすればああああああ。


「あ、オジさん、口元にクリームついてるよ。取ってあげるね」


 アヤネさんは人差し指で俺の口元をチョンと拭うと、クリームのついた指先を差し出してくる。


「ふふっ。はい、あーん♡」


「ああーん」


 俺は迷うことなく彼女の細くキレイな指を咥える。ギャルって指先も甘いんだなぁー。


「ちょっとぉ、そんなに吸ったらくずくったいってばぁ」


 彼女は恥ずかしそうに指を引き抜く。


「今の……ちょっとエッチかも♡」


 アヤネさあああああん!!


 よーし!! 今夜は俺と汗だくセッ――


「あれ? アヤネじゃね?」


 俺が暴走しそうになっていると、彼女の名前を呼ぶ男の声が聞こえてくる。


 声のした方へ顔を向ける。通りかかった学生服の男子グループ4人が通路の向こうからこちらを見ている。明らかに陽キャ軍団だ。


「おい、アヤネ!」


 4人のうちのひとりがこちらへ向かってくる。スラリと背の高いイケメン……いや、超イケメンだ。イケメンは明らかに険しい表情をしている。


「誰だよ、そいつ!」


「ツバサには関係ないでしょ」


「関係ないことないだろ! オレたちなんだから!」


「お、幼馴染……!?」


 唐突な幼馴染の登場である。しかもイケメン!


「お前、パパ活は止めとけって言っただろ!」


「ちょっと、失礼でしょ! この人とはそんなんじゃないし!」


「はあ!? じゃあ誰だよ。お前、兄妹なんていないだろ!?」


「…………彼氏」

 

「は?」「え?」


 イケメンと一緒にポカンとしてしまう。


「だから! 私のだってば! 私、この人と付き合ってるの!」


「はあ!?」


「ええええ!?」


 ビックリしすぎてイケメンよりも声が出てしまった。俺は慌てて口を押さえる。


「お前、オレのことは3回も振ってんのに、こんなダサい男とは付き合えるのかよ!」


「ダサくないし! そりゃ顔も身長もアンタに比べれば普通かもしれないけど、この人の隣はすごく居心地がいい! アンタとは全然違う!」


「ダッサ……」


「今なんて?」


「ダサいって言ったんだよ! ダサい男と付き合うなんて、お前もになったよな!」

 

 イケメンは吐き捨てるようにそう言った。


「おい……」


 気づけば俺は彼に声をかけていた。

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