1-18改 巨乳ギャルはオジさんを誘惑したい

「ねえ、オジさん? あの子、パパ活?」


「いえ、違いま……って、デッッッッ――――!?」


 いつの間にか俺の真横に巨大なオッパイが……じゃなくて、斜め向かいにいたはずの銀髪タレ目のJKギャルが座っていた。香水だろうか、ほのかにエキゾチックな香りが漂ってくる。


「って、なんでここに!?」


「なんでって、オジさんと話しがしたくて」


「え? 話……ですか? というか俺、まだオジさんって年齢じゃ……」


「だって名前知らないし。嫌だった?」


 巨乳ギャルは体を寄せてくる。


「いえ、それで大丈夫です」


「なら良かった」

 

 にしても、間近で見るとものスゴい迫力だ。ナニがとは言わないが、実にけしからん。


「あの子と随分仲良いよね? いくら払ったの?」


「払う……? ああ、いや。俺たち、そういうやましい関係じゃないんです」


「え? じゃあ、オジさん、あんな可愛い子と普通に付き合ってるってこと?」


「いや、付き合ってるかと言われれば、まだな気もしますけど……。あの子と知り合って4日しか経ってないので」


「えっ、4日!? 4日であんなに好かれてるの!? すごっ。オジさんとの、そんなに気持ちいいんだ」


「エッチ!? してませんって!? あの子とはキスすらしたことないですって!?」


「えっ、キスもまだなの? あんなに仲良さそうにしてるのに? オジさんもしかして女の子に興味ない……わけないか。私のオッパイ、ガン見してたし」


「ひょっ!?」


 顔が一気に熱くなる。


「ふふっ。オジさん、かわいい」


 巨乳ギャルが細い指の背中で頬をくすぐってくる。


「おおっ、大人をからかわないでくださいっ!」


「別にからかってないって。ていうかさ……」


 巨乳ギャルは俺の耳に手を添えて優しく耳打ちする。


「声、うわずってるよっ♡」


「ひょっ!?」


 俺は慌てて顔を遠ざける。


「だっ、誰に対してもこんなことしてるんですかっ!?」


「するわけないじゃん。私別に痴女じゃないし」


「痴女ッ!?」


 どぎまぎ続きな俺の反応を楽しむようにクスクスと笑った巨乳ギャルはテーブルに置かれていた俺のスマホを手に取る。


「このストラップ、あの子とお揃いだよね?」


「ええ、まあ……」


「どこで買ったの?」


「どこで? 駅前のショッピングモールですけど……?」


「ふーん」


 そんなこと聞いてどうするんだろう?


 巨乳ギャルは透明な黒色のストラップを手先で弄びながら尋ねてくる。


「ねえ、オジさん? 明日の夕方6時ごろ、駅前に来れる?」


「え? 明日ですか?」


 確かミサキさんはお友達と遊ぶって言ってたな……


『明日は久しぶりにリサたちと買い物しなきゃなんだよねー。だからオッサンとは会えないかも……。あっ、そうだ! オッサンもあーしらと一緒に買い物するぅー? ギャルが5人もいてハーレムだぞ!』


 なんて誘われたけど丁寧にお断りした。陽キャグループ無所属の人生を歩んで来た俺にはあまりにも荷が重い。


 だからまあ、予定がないと言えばない。


「まあ、行けますけど……」


「じゃあ、明日6時に駅前でってことで」


「え? 待ち合わせって……って、あれ? 右手のそれって?」


 ニッコリと微笑む巨乳ギャルの指先からぶら下がっていたのは、どこか見覚えのある『黒色のストラップ』だった。


「そう。オジさんのストラップ」


「はあ!?」


 彼女の左手には俺のスマホが握られている。俺がちょっと目を離した隙にスマホとストラップが分離されていた。手品かな?


「これはってことで」


「人質ってなんですか!?」


 このままだとミサキさんに叱られる!?


「あ、スマホは返してあげる」


「えっ、あ、よかった」


 俺は丸腰のスマホを両手で受け取る。


「って、違う!? ストラップも返してくださいよ……って、いないっ!?」


 巨乳ギャルはすでに自分の席へと戻り帰り支度を始めていた。


「あのっ!!」


 俺は慌てて彼女へ呼びかける。


「ごめん。私の分のトレーもお願い」


 友達を先に行かせた巨乳ギャルが黒色のストラップを見せつけてくる。

 

「全部言わなくても分かるでしょ? このストラップを返してほしかったら、明日私としてねってこと」


「…………は?」


「ちょっとぐらい遅れても許してあげるから、ちゃんと来てよ。じゃあね、オジさん」


 巨乳ギャルは俺のストラップを軽く揺らしながら挨拶すると、背中を向けて友達と合流する。


「ねえ、アヤネ? もしかしてまたパパ活?」

「違うって。普通にデートする」

「は? デート? あんなヤツのどこがいいの?」

「うーん? なんか楽しそう」

「危なくないの?」

「全然。私の方が襲っちゃわないか心配」

「なにそれー! ウケるー!」


 ギャル達は賑やかに喋りながら階段を降りていった。残された俺は呆然としたままソファへ腰を下ろす。

 

「え?」


 ドユコト? 意味が分からない……。


 あんなに美人でスタイルの良い子がたまたまその場に居合わせた冴えないサラリーマンとデートしたくなるものなのか……?


 俺は飾り気のなくなったスマホを掲げながら首をひねる。


 めちゃくちゃモテそうな女子高生に気に入られる要素があったようには思えないのだが……?

 

 まあ、とにかく明日ストラップは返してもらわないとな。天使すぎる白ギャルのちょっとエッチなプライベート動画を更新してもらえなくなる。もうアレなしでは生きていけない。


「――あ、アイツ帰ったんだ」


「うおうっ!?」


 突然耳に入ってきた天使すぎる白ギャルの声に、俺は危うくスマホを落っことしそうになる。


「ん? そんなに慌ててどったの? オッサン?」

 

「い、いえ、別に……」


 いつの間にかトイレから戻って来ていたミサキさんに気取られないように、俺はスマホをポケットへしまい込む。


「そお? けど、良かったぁ。これであーしと2人っきりだね」


 いや、普通に他のお客さんがいるけど?


 ミサキさんはご機嫌な様子で俺の隣へ腰を下ろして宿題を再開する。


「あ、ねえねえ、オッサン? あーしの頭ナデナデしといてもらっていい? そしたらもっと勉強頑張れる気がするんだよねぇー」


 甘えるようにおねだりされたので彼女の髪の毛を優しく撫でてあげる。そして俺は決意する。


 特盛りオッパイの誘惑なんかに負けない! 俺は必ずこの子の元へ戻ってくる!


 気合い一発フンッと鼻を鳴らす俺の隣でミサキさんはペンを動かしながら嬉しそうに話し始める。

 

「あーしの家ね。今日のおかず、唐揚げなんだぁー。お母さんがね、バイト頑張ったご褒美に揚げたてを食べさせてくれるんだってぇー。超楽しみだなんだけどぉー。オッサンもそのうち、ウチでご飯食べられたらいいのにねぇー……あっ、ちなみにさ。オッサンは晩ご飯の、何にするのー?」

 

「それはもちろん『巨乳女子校生モノ』ですね!……って、あっ」


「……」


 ミサキさんはおもむろに筆箱へ手を突っ込むと、蛍光ペンを2本取り出して両手に構える。


「ミ、ミサキさん……? お、落ち着いてくだ――」


「そっちのじゃねーし!!」


 ブスッ


 俺の両方の鼻の穴に蛍光ペンがブッ刺さるのだった。


「痛い……」


 これが2人目のギャル。お色気ムンムンのしっとりセクシーな巨乳女子高生『藤咲アヤネ』との出会いである。


 俺は明日、人質を取り戻すために彼女とのデートに臨む!

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