1-14改 ギャルはラインでオッサンをからかいたいパート②

ミサキ

【バイト受かったし☆☆】


 メッセージはもちろんミサキさんからだった。


【おめでとうございます】


ミサキ

【こんなに早く決まったのオッサンのおかげだし!】

【ありがと♩】


【チカラになれて良かったです】

【親御さんとはちゃんと話し合いましたか?】


ミサキ

【もち】

【夜の10時までには帰ってきなさいって言われた】


【それがいいと思います】


ミサキ

【さっそく明日からだって】

【4時半から6時半】

【あーしの制服姿、見に来てもいーよ】


【もちろん見に行きますよ! すごく楽しみです!】


ミサキ

【オッサンの!マーク初めて見たし笑】

【これでも見て落ち着け】

【赤のT】


「うおっ!?」


 例のごとくショート動画が送られてきたわけだが、今回はスマホスタンドを使った自撮りで、曲に合わせた『お尻強調ダンス』を披露している動画だった。


 丈の短いティーシャツに下は赤色のTバックしか履いていないので、背中を向けるたびにギャルのお尻が丸見えである。


「やばっ」


 つるんとした桃尻は画面越しでもわかるほど滑らかで透き通っている。現役女子高生、最高か! オッパイ派からお尻派に乗り換えてしまおうかと思うほど――


【シコい】


「……ん?」


【シコい】既読


「……ん?」


 そこには何度見ても俺が送った『シコい』というセクハラ文字が表示されている。


「消去っ!!」


 俺はただちにメッセージを長押し→削除ボタンとコマンドを入力して事なきを得た。


「ふぅー」


 新たにメッセージを送信し直す。


【とても刺激的な動画ですね笑】

【こんな動画送られたら、逆に落ち着けませんって笑】


「よし」


 にしても、カラオケ屋で見た生パンツの裏側がこんな感じになってるとはな……。JKギャル、スケベすぎるだろ!


 ピロン


 お、返事が返ってきた。


ミサキ

【やばっ笑】

【シコいとか言われたんだけど笑】

【てか無かったことにしてるし爆】


「ブウウウウウ――――ッ!?」


 俺は口に流し込んでいたチューハイをぶち撒ける。


 どうやら一瞬だけでもメッセージを見られていたらしい。や、やらかした……。


 だがまあ、すでにトークルームから証拠は抹消済み。これ以上イジられることはない。


【削除したので無効です】


ミサキ

【何言ってんの?】

【あーしの方には残ってるし笑】


「ん?」


ミサキ

【オッサン、知らないの?】

【削除はね、相手の方は消えないんだよ笑】


「は?」


 マジかよッ!?


 追加で操作しようにも、俺のトークムールから「シコい」という3文字は完全に消えている。や、やっちまった……。


【消してください】

【土下座】


ミサキ

【やだ笑】

【明日、リサたちに報告するから】

【オッサンがあーしのこと】

【超エロい目で見てくるってー笑】

 

 のおおおおおお――――っ!?


【許してください】


ミサキ

【別にいいじゃん】

【オッサンも男なんだしさ】

【女のケツとオッパイが好きなんだろ?】


【いや、まあ……】


 大好きに決まってるだろ!


ミサキ

【それにさ】

【オッサンとのライン見せたら】

【みんな超盛り上がるんだよ!】


【お友達に見せてるんですか!?】


ミサキ

【え? ダメなの?】


【いや、ダメってわけでは……】


 まあ、ミサキさんがお友達と楽しんでくれてるならいいか。見られて困るような内容でもなければ、けなされているワケでもなさそうだし。


【別に見せていいですよ】

【お友達と超盛り上がってください!】


ミサキ

【オッサンならそう言ってくれるって信じてたぞ!】

【お礼にチューしてあげる】

【ちょっと待っててね】


【動画「ありがとうのチュー♡」】


 送られてきた『ラブラブキス顔動画』に大興奮してしまうアラサーサラリーマンであった。



 翌日、18時前。


 ギャルのメイド服姿を見にファミレスまでやってきた俺の軽快な足取りが自動ドアを過ぎた途端、ピタリと止まる。


「えっ……」

 

 まだ日も落ちていない時間帯なのに、すでに待ち合い席がいっぱいである。


 この店にしては珍しいと思いつつも順番待ちの用紙に名前を書こうとして、ふと店内へ目を向けた俺は異様な光景を目の当たりにする。


 ナニコレ?


 もちろん店内は満席なのだが男しかいない。しかも高校生や大学生の若い男だらけだ。


 ただ店の中が慌ただしいという感じはしない。ホールスタッフは充実していそうだし、男性客も静かに食事をしているだけのように見える。そう……


 が現れるまでは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る