1-7改 ギャルはカラオケでチューしたい♡(後編)

「我慢しなくていいよ。あーし、オッサンになら何されてもいいし」


 ソファへ仰向けになった彼女は目を閉じる。俺は彼女の頬にそっと手を添える。


 見れば見るほど本当にきれいだ。彼女のすべてを俺のモノにしたい。髪も体も……唇も。


 二人きりの部屋。ソファの上で彼女に覆い被さった俺は、その透き通るような唇に吸い寄せられるように顔を近づけていき――


 ピトッ


 指で摘んだをくっつけた。


「……んん? オッサン、なんか唐揚げ臭いし……って、マジの唐揚げじゃんっ!?」


 ギャルは目を白黒させる。俺は摘んだ唐揚げを口の中へヒョイっと放り込む。


「はい。これで


「子供かよッ――!?」


「ふふっ、ナイスツッコミです」


 俺は彼女の頭を軽くポンポンと撫でてからソファへ座り直す。一方のギャルは若干不貞腐れながらも体を起こしてソファの上へ女の子座りすると、上目遣いで尋ねてくる。


「ねえねえ、オッサン? あーしとシタくないの? あーし、そんなに魅力ない?」


「ぐっ……」


 今すぐ抱きしめたい。情熱的なキスをしたい。最終的にはお持ち帰りしたい――というすべての欲望を心の奥底にしまい込み、俺は彼女の髪の毛を優しく撫でる。


「キミとシタくない男なんて、この世にいませんよ。キミはそれだけ魅力的な女性です。自信を持ってください」


「オッサンも本当はあーしとシタい?」


「もちろん」


 優しく撫でながら答えると、彼女は心地よさそうに目を閉じる。


「オッサンの手……超気持ちいいんだけどぉぉ……」


「ふふっ、それはよかった」


 俺は彼女の頭を撫でながら話を続ける。


「もっと自分の体を大切にしなきゃダメですよ? その場の雰囲気に流されて、会ったばかりの男に体を許しちゃいけません。世の中には悪い大人もたくさんいますからね」


「オッサン、なんか先生みたい。けど、わかった。あーし、気をつける。それに今日はもうエッチしたいって言わないよ。だから褒めてぇぇ」


 ギャルが甘えるようにおねだりしてくる。可愛さ、限界突破してます!


「ふふっ、わかりました。偉い偉い」


 頭をよしよししてあげると彼女の瞼がゆっくり閉じていく。


「これヤバいかもぉ……超落ち着くぅぅ……」


「ふふっ」


 俺のよしよしを気に入ってもらえたのは嬉しいが、これ以上部屋で2人きりだと俺の理性がもちそうにない。


「そろそろ帰りましょうか?」


「うん、そうする。けど最後に一個だけいい?」


「なんですか?」


「チューしたい」


 ギャルが唇をニュッと尖らせる。


「ダメです」


 もちろん即答だ。今の神状態でそんなことされてみろ? 止まらないぜ! 朝まで汗だくコースだ!


「あーし、チュー好きなんだよね。だから3回ぐらいしたい。チュッチュッチューって。最後のチューは長めね。チュウチュウ吸い合う感じ」


 恋人同士の濃厚キッスなんだが?


「ダメです。俺を困らせないでください」


「エッチだけじゃなくてチューもお預けかー。オッサン、超ガード硬いじゃん。逆に何がOKなの?」


 え? もしかして俺、ギャルにされてる?


「そうですね……。じゃあ最後にもう一度デュエットしましょうか? さっきは途中までしかできなかったので、今度こそ2人一緒に歌い切りましょう!」


 ザ・普通人間の俺にとってはそれが精一杯だ。会ったばかりの女の子とベッドインする勇気なんかないし、未成年相手にそんなことできない。


「はぁ……しょーがないなー。今日はそれで勘弁してやるか!」


 とりあえず許してもらえた。


「じゃあ、さっきと同じ曲にしよっか!」


「はい!」


「あーし、本気で歌うからね! オッサンもちゃんとついてきてよ!」


「任せてください!」


 俺は彼女とマイクを突き合わせてから端末のスタートボタンを押す。曲の始まりに合わせて俺は立ち上がり、彼女はソファの上に立って歌い始める。


「♩〜♩〜」


 サビに入ると彼女はその場で跳ね出し、気づけば俺もノリノリになっていた。俺たちは互いに見つめ合ったまま歌い続ける。


「オッサン、いくよ!」


 曲も最終盤。俺と彼女は歌詞に合わせて2人揃って大きくジャンプする。その瞬間――


 フワリ


 ギャルのスカートが完全にめくれ上がった。そして俺は我が目を疑う。


「えっ……」

 

 目の前に現れたのは高校生にしてはあまりにも刺激的な『真っ赤なパンティ』だった。


「えっ……」


 もちろん俺の目は釘付けだ。


「きゃっ」


 俺の視線に気づいたギャルは慌ててスカートを押さえる。可愛らしい悲鳴を上げた彼女は照れくさそうに微笑む。


「あーしのパンツ、ガン見してんじゃーん♡」


 からかうようなギャルの言葉に、俺は慌てて顔を伏せる。


「す、すみません、ついっ!?」


「あ、いいのいいの。気にしなくていいよー。たまにから」


「……え?」


 俺はゆっくりと顔を戻す。


 見られてる……? エロいことしか考えてない思春期真っ只中の男子高校生に……?


「あっ、けど、今日のコレはたまたまだよ? オッサンとデートするから大人っぽい方がいいかなーと思って。普段はもっと普通のパンツだよ?」


「けど、見られてるんですよね? クラスの男子に?」


 俺はゆっくりと彼女に近づいていく。この子のパンツが日常的にエロ猿どもの視線に晒されてると思うと、なんだか無性に腹が立つ。


「まあ、たまにね? ほら、あーしってスカート短めじゃん? ちょっとジャンプしただけで今みたいに見えちゃうっていうか……ってかオッサン、なんか怖いんだけど!?」


 俺は怯えるギャルの両肩を掴んで懇願する。


「スカート短いんですから、を履いてください。持ってますよね?」


「持ってるけどヤダ! 真っ黒で可愛くないもん!」


 ギャルはプイッとそっぽを向いてしまう。


「なら、俺が可愛いのを買ってあげます。だから履いてください」


「えっ! オッサン、あーしにパンツプレゼントしてくれるの! じゃあ履くぅ〜♡」


 ギャルが急に従順になった。が、喜ぶのはまだ早い。


「いけない! お店が閉まってしまいます! ほら、パンツ買いに行きますよ!」


 俺は彼女の手を引いて個室を出る。ギャルのパンツは俺が守る!!

 

「あ〜ん♡ オッサンのチカラが強すぎて、抵抗できない〜♡ あ、ホテルはね、駅の反対側だよお?」


「ホテルなんか行きませんよ! ショッピングモールへ戻りますからね! ほら急いでください!」


 ギャルの手を強く引く。後ろから「やあ〜ん♡」という幸せそうな悲鳴が聞こえてきたが、ギャルに履かせるパンツのことで頭がいっぱいだった俺は声に構わず突き進むのだった。


 絶望するがいい!! エロ猿ども!! フハハハハハッ!!



 ――1時間後。


 家へ帰った俺は扉を閉めると同時に玄関先でうな垂れる。


「ホテル、行っとけばよかった……」



――――――――――――――――――――――

(あとがき)

ここまでお読みくださり誠にありがとうございます!

面白いかも♩ギャルが可愛い♡と思っていただけたら【作品フォロー】をよろしくお願い致しますm(_ _)m

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る