海底探査


 海底探査



水底に映る鏡に生きるあの子は

散らした印象の中で

呼吸をしている。

傍をぼやけたアンコウの灯りが横切って行く

誰のものとも分からないその横顔が

一瞬だけ照らされて また沈んでいく


人手を離れて暴れる言葉の海。

少しフリックして下へもぐる。

活火山が泡を吹けば

小海老がたかる。

潜水服を着た人々が創り上げた水槽の向こう側は

水底に沈んだ街のようだった。


計器が一周するほど深くても

一生潜ってられそうな気がしている。

計器が破裂するほど深いから

体は歪に変化し始める。


水底に生きるあの子は

深海魚が作る渦の中で

呼吸をしている。

活火山の熱を煽って

誰かが火傷をする。

光なんて届かないから互いの顔は

闇の中に消えていく。

光が届かないよう祈っているから

闇の中に消えていく。

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