第48話 そうだ、クロテ・スーノ入ろう
アムディが受肉してから、俺は毎日教皇の元へ通っていた。
「うん、課題は全部合格だね」
「ヒトの子って大変なのね…」
夏季休暇の間にアムディをヒトとして再教育しているのだ。もちろん、教皇も勉強を見ているのだがヒトの常識と淑女教育だけは俺がやらないとね。
受肉したアムディは見た目の年齢を変えることが出来る。今は女神の時と同じくらいに見えるが、外に出るようになれば俺の年齢に合わせるつもりらしい。
「問題は夏季休暇が終わってからなんだよなぁ…」
今は俺が毎日通っているので問題はないが、夏季休暇が終わってからアムディをどう過ごさせるかで悩んでいた。
「教会でシスター見習いとして置いても良いのじゃが…」
「それしか無いかなぁ〜。学院だと目立つからなるべく一緒にいるのは避けたいし…」
「そうね。コンラッドの元に居るのが最善なのでしょうけど…わたしは学院も気になるわ」
環境としては学院のほうが色々と学べるんだろうけど、編入って受け付けてるのかな?…でも入ったら入ったで一緒にいると目立つんだよなぁ。なんで見た目コレにしちゃったんだろう。
うっかり興が乗ったのは仕方ないよね。だって楽しかったんだもん!
「聖女って事にして、クロテ・スーノに入れないかな…」
何となく、本当に何となくなのだが口からポロッとそんな言葉が出てきた。『
教皇が認めた『聖女』ならば、恐らくクロテ・スーノへの編入は認められる筈だ。
第一王子が所属しているのは気に掛かるが、自分と女神の記憶は消してあるから大丈夫だろう。
「ふむ、それが良いかもしれませんな」
以外にも教皇が乗り気だ。てっきり反対されるかと思ってたけど…
「ついでに、セラティア様もクロテ・スーノへ編入したらどうですかな?」
「えぇ〜」
俺も入らなきゃダメかなぁ?
「それに、クロテ・スーノの方が都合が良いかもしれませんぞ?」
「へ?どゆこと?」
「クロテ・スーノは学院での授業が免除され、代わりに自身の得意な分野で一定の功績を挙げる事になります。課外活動も認められますし、準冒険者資格も取れますぞ?」
「えっ、そうなんだ。興味なかったから全然知らなかった…」
「他の生徒から身を隠したいなら、クロテ・スーノに所属してしまった方が良いと、儂は思いますぞ」
「そうかぁ…」
うぅむ…そう聞くとクロテ・スーノが凄く魅力的なクラスに見えてきたぞ…。しかも、功績さえあれば卒業も自由だし成人を過ぎても在籍し続けられるらしい。更に言えば、図書館の禁書も読めるんだとか…
「よし、クロテ・スーノに入ろう!」
クロテ・スーノへ編入するにはクロテ・スーノの担当講師・クラス長・それ以外の誰かから推薦してもらう必要がある。但し、親族からの推薦は不可。
両親には頼めないので、教皇から推薦してもらう事になる。アムディは『聖女』として。私は…
「ふむ、『人形遣い』ですか?」
「うん。これなら、自分に力が無くても人形が凄いって事にすれば良いし、古代ゴーレムを修理出来るってなればクロテ・スーノに入れるんじゃないかな?」
「確かに、古代ゴーレム技術は失われた技術ですからな。修理出来るとなれば十分に資格はあるでしょう」
「『
「わたしとの関係はどうするの?」
「それは教皇の所へ通ってるし、実は密かに育てられていた聖女候補の話し相手となっていた…とでも言えば良いよ」
「なるほどねぇ…よく思いつくわね?」
「うふふん、そういうスキルがあるんだよ〜」
「えぇ?!なにそれズルい!」
そうして、その日のうちに教皇から推薦状が学院に届けられ、夏季休暇中に編入テストを受ける事になったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます