第11話 何だかんだ時は過ぎ
「流石ですね、セラティア様」
「先生の指導のおかげです」
オリバー事件(と侍女達は呼んでいる)があってから、すぐに優秀な魔導士が我が家に派遣されてきた。
今度の講師はエメリアという女性魔導士だ。彼女も父の部下だが、オリバーよりも立場は上で俺に対してもしっかり指導をしてくれている。
上から目線で申し訳ないが、彼女の魔法から加減を学ばせてもらっているので大変に有難い存在だ。それと、やはり実際の経験談は聞いているだけでも楽しくて、毎回授業が楽しみで仕方無かった。
護衛達との体力作りも順調で、最近は軽く打ち合いもするようになった。前世の(ゲーム内で培った)勘が鈍っているんじゃないかと心配したが、スキルのお陰で難なくモノに出来たのは良かった。
『錬金』に関してはなかなか講師が見つからず、独学でやることとなった。とはいえ一人では心配だということだったので…
「じーちゃん、きたよー!」
「おぉ、セラティア様。待っておりましたぞ」
ここは教皇の私室。
「さて、今日は何を作るのですかな?」
「そうだなぁ〜」
洗礼の儀から一ヶ月ほど経った頃に、教皇からお茶会のお誘いを貰った俺はそこで『錬金』の講師が居ないから独学で学んでいると話したら「それなら儂が教えましょう」と講師役に名乗りを上げてくれたのだ。
教皇が錬金???と思ったのだが、元々は教会に所属する錬金術師だったらしい。そこから『神託』と『神聖』のスキルを得た事で教皇の座に就いたのだとか。
「魔法薬は一通り試したし、次は魔道具かな」
「ふむ…それなら付与石でも作ってみますかの?」
「付与石?」
「例えば…儂のこの飾りですが、これには防御魔法が施されております。ここの石に魔法付与を施してアクセサリに加工しておりますのじゃ」
「アクセサリに付与するのはダメなの?」
「劣化を防ぐために保護魔法をかけるので、加工前に付与しておかないと弾かれてしまうんです」
「へぇ〜」
教皇の指輪を一つ借りてまずは鑑定してみる。俺の持つ『神眼』というスキルは鑑定の最上位スキルで、より詳しく視ることが出来るのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
神官の指輪 レア度:優
状態:保護
付与:神聖力アップ(小)
説明:歴代の教皇に受け継がれた指輪。神の声を受け取りやすくすると云われている。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「うーん、この指輪ちょっと効果が弱いね?」
「神聖力の付与は、付与術士が神聖の技能を持っておらんと出来ませんし、これより効果の高い付与が出来る者は大抵魔導士になってしまいますから」
「なるほど〜」
「それじゃ…『
「ほぉっ?!」
指輪にかけられた保護魔法を解除して、付与を上書きする。ついでに身を護る付与と悪心を持つ者には着けられない付与もしておいた。最後に保護魔法をかけ直して完成だ。
「えーと、どうなったか…んぁっ?!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
女神の指輪 レア度:神
状態:保護(永久)
付与:神聖力アップ(極大) 守護(極大) 善良なる心
説明:歴代の教皇に受け継がれた指輪。女神の手により生まれ変わった。善良な者にしか身に着けられない。外敵からのあらゆる攻撃から身を守る
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
なんか、トンデモナイシロモノになっちゃった予感だぞ?
「ほぐぁっ?!」
鑑定スキル持ちの教皇も指輪を見て驚いている。あれれ、おっかしいなー?
「魔法薬の効果も高かったが、まさかこれほどとは…」
「うぅーん、もしかしたら素材の品質の差…かな?」
「これは検証が必要ですな」
教皇は俺の事を女神から知らされているので思う存分やれる。ついでに、じーちゃん呼びをが許されるのも、教会に伝わる伝説の品や禁書なんかを見せてくれるのも俺が『亜神』だからだ。
「ところで、もうじき学院試験ではないですかな?」
「うん。明日だったかな」
「ほあっ?!」
教皇がビックリしている。そんなに驚く事だったかな?
「そのような大事な時期に、儂の所へ来ていて良かったのですか?」
「まぁ、入学できれば良いからね〜」
そう、入学できればそれで良いのだ。
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