第5話 なるようにしかならん!

『どうしよう…ヒトの事なんてわからないわよ〜〜〜』


女神がサメザメと泣いている。どうしようと言われてもなぁ…


『…とりあえず、貴方が仕事を受けてくれるって分かっただけで良しとするわ』

「何かいい案でも思いついたのか?」

『ちょっと他の神々どうりょうに相談してみる!』


…神って一人じゃないんだな。


『そうそう、起きたら"自己鑑定アプレイザル"って心の中で唱えてみて』

「なんだそれ?」

『自分の能力を知る為のスキルよ。ステータス画面みるコマンド…といえばわかりやすいかしら?』

「なるほど…そういう事ゲーム用語には詳しいんだな」

『う、うるさいわね!』


辺りがだんだん暗くなっていく。


『そろそろ時間ね。また会いましょー!』


真っ暗になっていくなかで、女神はそう言いながら手をブンブンと振っていた。


目を開くと、俺はベッドに寝かされていた。どうやらここまで運ばれたらしい。窓の方を見ると、まだ外は明るかった。


俺が起きたことに気付いた侍女が俺を抱き上げ、母のいる部屋へ向かう。そこには見知らぬ女性が沢山の布をテーブルに広げて母となにやら話し込んでいた。


「あら、アーシェちゃん。丁度良かったわ」

「あら、こちらがお嬢様ですのね?まぁまぁまぁ!なんっっって可愛らしいんでしょう」


見知らぬ女性が興奮した様子でこちらに向かってくる。やだ、ちょっと怖い。


思わず侍女の身体にしがみつくと、察した母が助け舟を出してくれた。


「エマ、そんなに勢いよく近付いてはアーシェガ怖がってしまうわ?」

「あら、それは失礼しました。お嬢様のご容姿ですと…この辺りが良さそうですわね」


エマ…と呼ばれた女性が、母にいくつかの紙を見せている。一体何の話なんだろうか?


「布はどうなさいます?」

「エマに任せるわ」

「かしこまりました、セレモニーに相応しいドレスを仕立てさせて頂きますわね」

「ええ、お願いね」


どうやら仕立て屋だったようだ。エマさんは食い入るように俺を見つめながら、あちこち測ると紙にものすごい勢いで何かを書き込んでいる。


その後も布を巻かれたり、頭に何かを飾られたり…と着せ替え人形か何かになった気分を味わって1日が終わった。


ベッドに寝かされて一人になった俺は、早速女神の言ったことを実行してみる事にした。


自己鑑定アプレイザル


目を閉じて、教えられた言葉を心の中で唱えると、目の前にステータス画面ウィンドウが現れた!なにこれスゴイ!


目の前のステータス画面には前世でプレイしていたゲームを思わせるような馴染のある内容になっていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

アシェラッド・フォーサイス(1)

種族:ヒト族(亜神)

技能:神眼 創造 召喚 探索 錬金 クラフト 支配 隠匿 再生 耐毒 耐疫 無限魔力 

能力:体力20/20 魔力∞ 筋力10/10 俊敏10/10 器用10/10 知力∞ 魅力100

状態:乳幼児

加護:創造神の加護

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


本当にキャラのステータスが採用されてるとは…ゲーム内では気にならなかったけど、リアルでこのステータスは流石にチート過ぎるだろ。能力値の低い部分は俺が赤ん坊だからだな。


バレたら本当に困ったことになる気がするが…ま、なるようにしかならんな!

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