第5話 襲来(曹操軍)
「落ち着きましたかな?」
机から顔を上げると
「申し訳ありません。つい感情的に…」
「分かっております。あの状況で指示を受け入れろというのは無理な話でしょう」
沈む李典に薛梯は気遣いの言葉を贈る。だが、気を紛らわせて終われるほどに現実は甘くない。今も刻一刻と事態は悪化しているのだ。
「しかし、お三方の協力失くしてこの窮地を乗り切ることは出来ません」
「分かっています。頭の中では…分かっているんです」
薛梯の指摘に李典は弱々しく言葉を返し、顔を手で覆う。
「叔父は戦で死んだ。
そこまで李典が口にすると薛梯は立ち上がる。今の言い訳がましい文句に言及することなく一歩を踏み出す。
「そこまでご理解いただけているのなら大丈夫であると私は判断しましょう。張遼殿と
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