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2023年12月31日 14:47
桃山時代版の「落窪物語」という感じですね。ただ、落窪姫よりもいちの方が芸術を理解し相手の男性も守ろうとするなど個性や主体性が見えますし、旬の造形も絵師の息子に成り済ますなど鮮やかです。虐待する継母のポジションが本来はヒロインの血を分けた伯母の淀君であり、怨憎に凝り固まった彼女の中では本来は一緒に育った実妹である江も姪のいちも分断させるべき憎悪や迫害の対象でしかないという真相に根深い闇が見えますね。 秀頼はいちを虐待する陰湿な加害者ではありますが、憎悪に凝り固まった生母にスポイルされたもう一人の被虐待児とも言えるでしょう。「いち」と本来はヒロインの祖母であり、淀君・江姉妹の生みの母でもあるお市の方と同じ名前にされたヒロイン。彼女を虐待する淀君と秀頼母子の姿からは本人たちが美人の誉れ高いお市の方や織田家の血筋を誇りにしているようで実際には無意識に憎んでもいる呪いめいた運命が感じられました。離れて暮らしていても情愛で繋がっているいちと江の母子との対比が鮮やかです。実際には生さぬ仲である北政所がいちを助けるという展開が皮肉ですね(恐らくは北政所の目には憎しみの渦巻く淀君やそこに毒された秀頼の矮小さ、彼女らが主となった豊臣家の遠からぬ破滅が見えていたのでしょうね)。
桃山時代版の「落窪物語」という感じですね。
ただ、落窪姫よりもいちの方が芸術を理解し相手の男性も守ろうとするなど個性や主体性が見えますし、旬の造形も絵師の息子に成り済ますなど鮮やかです。
虐待する継母のポジションが本来はヒロインの血を分けた伯母の淀君であり、怨憎に凝り固まった彼女の中では本来は一緒に育った実妹である江も姪のいちも分断させるべき憎悪や迫害の対象でしかないという真相に根深い闇が見えますね。
秀頼はいちを虐待する陰湿な加害者ではありますが、憎悪に凝り固まった生母にスポイルされたもう一人の被虐待児とも言えるでしょう。
「いち」と本来はヒロインの祖母であり、淀君・江姉妹の生みの母でもあるお市の方と同じ名前にされたヒロイン。
彼女を虐待する淀君と秀頼母子の姿からは本人たちが美人の誉れ高いお市の方や織田家の血筋を誇りにしているようで実際には無意識に憎んでもいる呪いめいた運命が感じられました。
離れて暮らしていても情愛で繋がっているいちと江の母子との対比が鮮やかです。
実際には生さぬ仲である北政所がいちを助けるという展開が皮肉ですね(恐らくは北政所の目には憎しみの渦巻く淀君やそこに毒された秀頼の矮小さ、彼女らが主となった豊臣家の遠からぬ破滅が見えていたのでしょうね)。