第57話
ルーク フラワーツリーの村
ルークたちは『愚者の塔』近くまでやってきていた。
愚者の塔まであと少しというところで、サスケが煙に気付いた。
どうやら近くに村があるようだ。ルークはサスケに頼んで、あたりを調べてもらう。用意していた地図には、このあたりに村は載ってない。この世界では地図にない村など珍しくもなかった。それでもなにか情報が得られないとも限らない。ルークは先に進むよりも村を調べることにした。
偵察に出ていたサスケがルークの元へもどってくる。ルークはサスケにねぎらいの言葉をかける。
「お疲れサスケ。どうだった?」ルークはいった。
ルークは同時に水筒を差し出す。サスケは水筒を受けとりながら、近くに腰掛けた。
「ありがとルーク。やっぱり村があったよ。でもなんだか様子が変なの……」サスケは言った。
ルークは顔を上げる。
「変?何が変なんだ……」ルークは言った。
幼馴染のサスケは言葉で表現するのがうまくない。何を言っているのかがわからないときがある、ただ大事な情報を持っている可能性があった。“きちんと向き合って聞く必要があるな“ルークは思った。サスケに向き直る。
「人から花が生えているの」サスケは言った。
「……花……?」ルークは言った。
ルークは全く意味が分からなかったが、仲間の一人には刺さったようだった。
隣で物思いにふけっていた美女が反応する。背中には天使の証の翼がついている。
「花の生えた人!すぐに見に行きましょう!」エキドナは言った。
”待ってください”ルークは伝えようと思ったが遅かった。
エキドナはもう走り出してしまった。
サスケがルークに目で合図する。
”あの天使(バカ)捕まえようか?”サスケは言った。
ルークは首を振った。
”いいよ、僕らはゆっくり追いかけよう”ルークは言った。
ルークは荷物を背負うと立ち上がった。
その背中には勇者の証の『勇者の剣』が担がれている。
ただし持ち主は行方不明だ。本来なら勇者にしか持つことができない剣をルークが持てているのは、偶然だった。ルークは今のところ半人前の勇者といったところだろう。
ルーク自身はそのことを本物の勇者になるための試練だと受け止めている。
剣の本来の持ち主であるカイザーが魔王だったことも関係しているのかもしれない。
ルークのいる世界はちょっとバランスを崩しているようだ。
エキドナがよだれを垂らしながら身支度をするのを横目にルークは伸びをする。
ルークの横まで幼馴染である忍者サスケがやってきた。ルークに耳打ちする。
「エキドナって『人間が好き』とかだいぶ変わっているよね……」サスケは言った。
“たぶんエキドナさんはお前にだけは言われたくないと思うぞ……”ルークは思った。
ただし、おくびにもださない。
ルークはこれまでの経験からチームワークはこういった些細な配慮から生まれることを学んでいた。
田舎のクソガキだったころよりもだいぶ成長したのかもしれない。ルークは自分を振り返った。
「まぁエキドナさんは元魔物だから人間とはちょっと違うところもあるんだと思うよ」ルークは言った。ルークは無難な返事をする。
サスケは“ふーん”とだけいって片づけをすませた。
早々に出発したエキドナを追いかけて、二人も出発した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます