第46話

シロ VSルーク


「ルークくん、よくわかったね」シロは言った。

シロは久しぶりに映画館から現実へと出てきた。

ルークに引っ張り出されたという方が適切かもしれない。


「たまたまわかっただけだよ」ルークは言った。

ルークがシロの半月刀を火炎剣で受ける。



シロはルークが苦手だった。ルークの心は落ちついている。さざ波すら起きていない。勇者カイザーですら、動揺が見られたのに……。シロはルークの恐怖を探して、ルークの心を見つめる。


ルークはシロの攻撃をさばきながらカイザーとサスケの様子をうかがう。ブギーマンからシロへ変わった後、攻撃が単調になっていた。今までの相手に恐怖を与えるような数々の攻撃手段が嘘のようだった。

“つまり、シロが表に出ていた方が戦いやすいってことだな……”ルークは思った。


シロがなんでブギーマンと共存できているのか、そもそもブギーマンとは何なのか……。ルークは探りを入れるように剣を打ち込む。ルークは剣をぶつけ合うことで相手の感情を読み取ることができていた。ルークの中のブレイブがまた形を変え始めていた。



シロはルークの心を観察していた。風のない湖のようなルークの心。暖かいその心の奥を必死に探した。“なんで、コイツには恐怖がない”シロは思った。


そしてシロは見つけた。

ルークの心の中の深く、机の上の写真立ての中に太陽みたいな笑顔があった。

サスケの笑顔だった。


その存在に気付いた瞬間、シロの中で嫉妬の炎が燃え上がった。

「なんでお前は一人じゃないんだ!」シロは叫んだ。


シロの攻撃パターンが変わる。

ルークはとっさのことで受け身になる。

シロの攻撃はフェイントだった、シロはルークの足を狩ると転ばせた。

シロは倒れたルークには目もくれずに走った。


カイザーを開放するサスケの方へ向けて。

ルークは焦る。

「てめぇ待ちやがれ」ルークは言った。ルークは立ち上がってシロを追いかけるが、シロの方が早い。シロの首が180度ひっくり返ってルークを見ながら笑う。

「あぁようやく動揺したね。でもいまはいいや、そこで這いつくばっていて」シロは言った。


ルークはとっさに構えるが、ブギーマンの力は精神攻撃だった。心の隙間をついてくる。

ルークの足がバターみたいに溶ける。ルークは走れなくて転ぶ。

“落ち着け。これは幻覚だ。足はある、動かせ”ルークは思った。

ルークは再び、精神を集中する。


意思の力で足を思い描き走る。

しかし、シロはもうサスケの元へと到達していた。


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