第38話
シロ 自室
シロが自室に戻ると、神官長から呼び出しを受けた。
“看守の仕事をサボってカイザーさんたちと話したことが問題だったのかな”シロは思った。
他に呼び出しを受けた理由が思い当たらない。
神官長の部屋をノックして入室すると、神官長はいつものように執務を行っていた。
シロが待機していると、神官長がペンを置いた。
シロは怒られるものとおもってドキドキしている。
「シロ、よく来たね」神官長は言った。
「神官長、わたしはなにかやらかしましたか?」シロは言った。
シロは不安そうに神官長をみた。
神官長は珍しくニコニコしながら言った。
「あぁシロは自分が何かやらかしたのかと思っているのかい?」神官長はいった。
シロは安堵する。この様子なら怒られることはなさそうだ。上機嫌な神官長にシロは応える。
「その様子だとわたしの早とちりみたいですね。なんの御用でしょうか?」シロは言った。
「あぁ。シロに頼みたいのは、ちょっと倉庫にある樽を動かしてほしいんだ。大丈夫カウンター用の魔法は解除してあるから……。そんなに重くないから君でも大丈夫だと思う。置く場所は、そうだな儀式の部屋に置いておいてくれ」神官長はいった。
“それくらいなら僕でもできそうだ”シロは思った。
「わかりました、やっておきます」シロはいった。
「あぁそうそう。もしかしたら樽の蓋が空いてしまっているかもしれないが気にせず運んでしまって大丈夫だ」神官長は言った。
シロは軽く会釈をして部屋を出ようとする。そこで神官長に呼び止められた。
「あぁシロ最後に君のその瞳を見せてもらってもいいかな?」神官長はいった。
シロは戸惑いながらも開眼する。この赤い瞳は、アルビノの証だった。アルビノの瞳は見えすぎるため、普段は目を閉じている。それでもシロは歩くのに困ったことはない。普通の人よりも見えているからだ。シロは大きな視野で世界を認識していた。
神官長は満足げにうなずく。
「ありがとう。これでようやく私の願いも成就する。昔君を拾い上げて本当に良かった」神官長は言った。独り言のようだったのでシロは聞こえなかった振りをしようとした。しかし、昼間にサスケに褒められたことを思い出した。
「神官長拾ってくださってありがとうございます」シロは言った。
そういって神官長の部屋を後にした。
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