第23話

再び森の中


「危なかったー」サスケは言った。

サスケは額に汗をかいていた。間一髪で爆発から逃れることができた。ちょっとでも遅かったらサスケは木っ端みじんになっていただろう。サスケは身震いする。

「いいからサスケ降りろ。重い」ルークは言った。

「え、やだよ。わたし頑張ったんだからルークも頑張ってよ」サスケはいった。

サスケはルークの肩に抱き着いていた。

エキドナのサポートがあったとはいえ、ここまでの影移動は結構消耗したのだ。



ルークはエキドナの姿が見えないことに気付く。

「あれサスケ、エキドナさんは?」ルークはいった。

サスケは周りを見渡す。

「あれ?さっきまでいたのに……。おいてきちゃったのかな?」サスケはいった。

カイザーが二人を安心させる。

「大丈夫だ、エキドナは街に残ったらしい。サスケの回復もあるからちょっとここらで一休みしよう」カイザーは言った。

カイザーは地面に勇者の剣を差す。ルークは野宿の準備を始めた。

カイザーは器用に片手で調理を始める。慣れたもので、すぐにおいしそうな料理が並んだ。

皆でおいしそうにたべる、ルークが取ってきた魚も丸焼きにした。

「さて、サスケ。向こうで起きたことを説明してくれないか?」カイザーは言った。

サスケは満腹でうとうとしていたが、ルークに小突かれて覚醒した。

カイザーが苦笑する。

サスケはよだれをこっそり拭うと説明を始めた。


サスケの説明はいろいろ足りてなかった。

「ぎゅーんて門を抜けたら、ばびゅーんて爆発したの」サスケはいった。

身振り手振りがついていたが、カイザーにはさっぱりわからなかった。

カイザーが頭を抱えていると、ルークが説明を足してくれた。

「つまり、門番は魔物の入った樽を黙認した。そして、探りを入れようとしたら何か魔法攻撃を受けたという事です」ルークは言った。

カイザーは驚いた。

「ルーク、今の説明でわかるのか!」カイザーは言った。

「えぇサスケとの付き合いも長いですから、このバカは説明が下手なんです」ルークは言った。

サスケは照れたように頭を掻く。

「それほどでも~」サスケは言った。

「褒めてない」ルークは言った。


カイザーはさらにルークの翻訳を聞く。

カイザーは分かったことを整理する。

「どうやらその魔法はカウンタータイプの魔法だな」カイザーはいった。

「カウンターとは、自動で迎撃するタイプってことですね」ルークは言った。

「そうだ、おそらく誰が探りを入れたかまでは特定できてないだろう。まだ我々の存在はばれてはいないが、向こうは警戒しているだろうな」カイザーは言った。


サスケが少ししょんぼりする。

「わたし何かミスしましたか?」サスケは言った。

「いや、初仕事としては悪くない。すくなくとも次の街には危険があることが分かったからな」カイザーは言った。自分で淹れたコーヒーをすする。うん、おいしい。

サスケはカイザーに褒められたことに気分をよくする。サスケがルークに自慢する。

「みたかルーク私の働きを!」サスケはいった。

ルークは軽く流す。

「はいはい」ルークはいった。

サスケはその対応に不満だったらしく、ルークにちょっかいを出す。

「冷たいぞこの唐変木!赤毛!」サスケはいった。

「赤毛は別に悪口じゃねぇ!」ルークは言った。

二人の小競り合いが続く。カイザーは二人に注意する。

「片づけてから遊べよ」カイザーは言った。


カイザーは片づけをしながら考える。

“迎撃魔法を仕掛けてあるという事は、おそらく町ぐるみで何かをやっているんだろうな……。つまり、なにか陰謀の匂いがする”カイザーは思った。

カイザーはふいに周りが静かになったことに気付く。

見れば二人は仲良く眠っていた。

カイザーは遊び疲れて眠ってしまった二人を見ながらつくづく人間は不思議だなと考えた。



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