第19話

魔王城


ゴーレムのゴーリーは、魔王業務をこなしていた。

とはいえ、魔王業務なんてやる事はほとんどない。基本的に魔人の世界は弱肉強食だ。気に食わなければ戦うし、それを気に留めるやつもいない。

ゴーレムは魔王様の代わりに玉座に座り、勇者などの挑戦があれば受けた。



そんなゴーレムの元に、ルシファーがやってきた。

ルシファーは堕天使で、ゴーリーとエキドナと並んで魔王様の側近をやっている。

やっているとはいっても、お互い好きなように好きなことをしているだけだった。

「あれ?魔王様いないの?」ルシファーは言った。


ゴーリーはうなずいた。

「そっか……。つまんないな。下剋上でもしようかな……」ルシファーは言った。

ゴーリーは身構える。

魔王の側近にはそれぞれ癖がある。

魔女エキドナは人間好きで、好きな人間を研究するために魔王様の側近をやっている。

魔神ゴーリーは自分を起動してくれたのが魔王様だったから従っている。

ただ、この堕天使ルシファーだけは、なぜ魔王様に従っているのかがわからない。

その時その時によって言っていることがころころ変わるし、行動にも一貫性がない。


神から天使の資格をはく奪されて、堕天使になった。しかし、何をやったかはよくわかっていない。ルシファーはその幼い外見に似合わない獰猛な笑みを浮かべると、雷を落とした。

ゴーレムは腕で雷をつかむとルシファーに雷を投げ返した。

ルシファーが笑う。

「ははは。さすが神が作った古代兵器。魔法を掴むなんて面白すぎるね」ルシファーは言った。

ルシファーは雷の直撃を受ける。ルシファーは満足げにうなずくと、自分の寝床に返っていった。

ゴーリーは混乱しながらもそういうものだと受け入れる。

ただし、魔王様には報告を入れておく。


魔王様が戻ってくるのがいつになるのかわからないが、あの情緒不安定な同僚とうまくやっていけるのかゴーリーは心配になった。

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