第10話  幕間

廃貴族の城


ぴちゃぴちゃと、水が垂れる音がする。


石畳の廊下を魔物は歩く。昔はよかった。

豪華な調度品があり、贅を尽くした料理が出された。

綺麗に着飾った婦女子が踊り、紳士たちは煙草をくわえながらそれを見ていた。


ある日何かが起きてすべてが変わってしまった。


城の中をぴちゃぴちゃと水が垂れる音がする。


“もうすぐ、もうすぐだから”男は言った。


その言葉の意味はもう分からない。

念仏のように何度も繰り返す。


彼が歩く後に水が垂れていく。

水滴は魔法を描き、儀式が始まろうとしていた。

災厄の儀式が。


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