第4話


「魔王様二次試験突破おめでとうございます。SNSの閲覧数もだいぶ伸びています。イナサの衣装、褒められていますよ」エキドナは言った。

エキドナは画面をカイザーに提示する。

そこには、多くの祝福のコメントが溢れていた。


”イサナの装備を選ぶとはわかっている”

”おー勇者志望だ。がんばれ”

”めっちゃイケメン”


カイザーは一通り目を通す。

「なんかうれしいな」カイザーは言った。

勇者ファンはまだ根強く残っているのだ。それがわかっただけでもうれしかったりする。


ただ、懸念がないわけではなかった。

“次世代の勇者たちが育っていない”カイザーは思った。

今日一緒に面接をした他の勇者志望者たちにはがっかりした。


まだ若いというのもあるのかもしれないが、それにしても信念というものを感じられなかった。村の次男や三男が、働く場所もないから勇者にでもなっておくか。そういう甘い考えが透けて見えた。

エキドナが言っていたとおり、見込みのあるやつは宿屋や料理など稼げる方へ流れていっているのだろう。わしが勇者業界を盛り上げねばならない。


カイザーは拳を強く握った。


とくに隣に座っていた『ルーク』という少年。あれはダメだ。

面接官からの評価は高かったようだが。

魔力はあった。確かに育て上げれば大した魔法使いにはなれるかもしれない。

ただ大事なことは立派な“ブレイブ(勇者の魂)”があるかどうかなんだ。歴代の勇者たちにはそれだけのものが備わっていた。ピンチであればあるほど、輝くブレイブ。自分はぼろぼろであるにもかかわらず、仲間や他人の命を優先する。

不可能だと言われても果敢に挑むその在り方。


カイザーの目から光るものがこぼれる。



人を外見で判断するのはよくないかもしれないが、ルークにはブレイブがなかった。

今は才能でうまく立ち回れているかもしれない、ただメッキが剥げるときが絶対に来る。

“まぁブレイブを評価するのは、『勇者の剣』が決めること。わしにもブレイブがあるかどうかはわからない”カイザーは思った。



そのときエキドナが声を上げた。

「あ、魔王様。最終面接のメンバーが発表されました。今回は2人ですね、魔王様と『ルーク』ってやつです。最終試験はおもったとおり、『勇者の剣』が引き抜けるかどうかですね。魔王って『勇者の剣』を引き抜けるんですか?」エキドナは言った。


「その昔イサナの『勇者の剣』を奪って装備してみたら、聖なる力ではじかれたことがある。こればっかりはやってみないとわからないな」カイザーは言った。


「へーそうなんですね。楽しみですね」エキドナは言った。

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