第3話
やっと放課後になったよ。
相変わらずつまらなかった。
では早速ギリシャに――
行こうと思ったら珍しくスマホが鳴った。
僕に友達なんていないからスマホが鳴るとしたら義家族しかいない。
案の定、姉さんからだった。
「はいはーい」
「夢路。
今日父さんも母さんも遅いみたいなの。
夕ご飯の買い出し行くの手伝ってくれる?」
「いーよ」
ギリシャに行くのは夜ご飯の後にしよう。
姉さんのお手伝いの方が優先だからね。
そんな訳で姉さんと合流してお買い物を終えた僕は帰路についていた。
なんと今日の夕飯はハンバーグ。
楽しみ〜
路地裏で怪我して倒れてる外人女性いるけど気にしな〜い。
「大変!
夢路ちょっとこれ持って」
姉さんは買い物袋を僕に渡して、その女性の所に駆け寄った。
流石姉さんは優しい人だ。
僕も仕方なく近くによる。
「大丈夫ですか?」
外人さんは姉さんと同じ年ぐらいかな?
とても美人。
まあ、姉さんの方が美人で可愛いけどね。
腕から血を流してた。
「大丈夫です。
ちょっと転けてしまっただけです」
絶対ウソ。
それはどう見ても弾丸が貫通した傷。
姉さんも転んだ傷で無い事はわかってるはず。
「とにかく病院に」
「病院に行く程ではありません」
訳ありだから病院に行きたく無いんだね。
ちなみに姉さんは賢いから英語がペラペラ。
僕は全然。
でも大丈夫。
『美学その6
自分の常識は世界の常識と思うな』
常識って人が作った物なんだ。
ようは窮屈なルールと一緒。
だってみんな知らないでしょ?
この世には魔力だって、超能力だって、気力だって、霊力だってあるんだよ。
でもみんな自分の常識で測ってるから認めないんだ。
とても勿体ない。
僕は全部使えちゃうからみんなには出来ない事が出来ちゃう。
昨日みたいにビルを蹴って跳び回ったり、ビルの壁を垂直に走ったり、空も飛べちゃうんだ。
今だって何言ってるか分かるし逆も簡単。
「とにかく応急処置するから、私の家に」
姉さんは拒否する外人を半ば無理矢理家に連れて帰った。
◇
学者の女の名前はピュラー・サノス
年は19歳でギリシャ人。
考古学者らしい。
この歳で学者とか凄く賢いんだね。
昨日入国したんだって。
姉さんが僕が手当てしてる間に聞いてた。
なんで僕が手当てしてるかって?
仕方ないから僕から手当てするって言ったんだ。
だって姉さんのハンバーグ早く食べたいもん。
でも真面目に手当てするの面倒だから、こそっと力を使って少し治療した。
ピュラーは驚いていたけど無視無視。
日本の薬良く効くな〜とでも思ったんじゃないかな。
ピュラーの目的は八尾木教授に会いに来たんだって。
八尾木教授って誰?
とか思ったけど、姉さんの大学にいる世界的にも有名な考古学者なんだって。
明日、姉さんと一緒に会いに行くみたい。
良かったね。
さっさと教授に渡してしまうに限るよ。
だってさっきからずっと物騒な連中が家を監視してるんだもん。
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