第3話 お休みの日 -秋-
今日はくもの学校、88小学校がお休みなので、いとちゃんはいつもよりのんびり寝ています。もっと寝ていたかったけど、なんだかお腹が空いてきたし喉も渇いてきたので、起きることにしました。
「おはよう」
家の中はシーンとしていて、リビングには誰もいません。いとちゃんが起きるのが遅かったので、お母さんたちは買い物に出かけたのかもしれません。少し心細い気持ちになりましたが、テーブルの上にヨーグルトと果物とミルクが置いてあり、そばにお母さんの字で書かれた手紙を見つけたので読みました。
『おはよう あさごはんをたべてね スーパーにいってきます』
「やっぱり買い物に行ったんだ」
いとちゃんの考えていた通りだったので、安心しました。そして、ゆっくり朝ごはんを食べ始めました。
朝ごはんを食べ終わってもお母さん達が帰ってこないので、家の周りを少しお散歩してみることにしました。
88森は今は秋。地面にはたくさんの落ち葉がグラデーションになっていて、まるで美しい絨毯のようです。落ち葉の上を歩くとカサガサカサガサと足音が響きます。時々、パキッという小枝が折れる音も混ざります。空を見上げると、灰色の大きな雲が広がっていました。
ぽつん、といとちゃんのほっぺに、雨粒が落ちてきました。
ぽつん、今度はおでこ。ぽつん、次はうでに。
「雨が強くなりそう」
いとちゃんは落ち葉を両手で集めると、大きな木の下へ入り、木の根元に落ち葉を置きました。次は細い枝を何本か集めて、それもまた木の根元に置きました。近くに生えていた大きなキノコのかさの上に座ると、腰からキラキラ輝く細い糸を
にゅうーーーー
っと出しました。長ーい糸を枝に巻き付けて、落ち葉もペタリペタリと貼り付けて…。さて、いとちゃんは何を作っているのでしょうか?カタツムリさんやカエル君もいとちゃんの足元に集まってきて、何だろうと興味津々に見つめています。
「できた!」
なんと、完成したのは傘でした。
サーーーッ ポッポッポッポッ サーーーッ
傘作りをしている間に、雨が強くなっていました。でも平気です。傘があるのでお散歩を再開できます!落ち葉を隙間なく貼り付けているので、雨の中のお散歩でもルンルン気分です。
しばらくお散歩を続けていると、少し寒くなってきました。ぶるぶるっと体が震えます。
「おうちに帰って、何か暖かいものを飲みたいな」
そろそろお母さん達も帰ってきているでしょう。家の方へ向かって歩き出しました。
「ただいまー」
「おかえり。帰ってきたら居ないから心配したわよ」
お母さんとお父さん、妹のみみちゃんが一足先に家で待っていました。
「雨で体が冷えたでしょう。手を洗ったら暖かいスープを飲みましょう」
やっぱり暖かい飲み物だ!いとちゃんの考えていた通りです。
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