第2話 森の中の学校

 88(はちはち)小学校は88森に住むくもの子供たちが通っている学校です。

校舎の大きな屋根は、赤い瓦が敷き詰められていて、上から見ると丸いくもの巣のようなデザインになっています。校舎をぐるりと囲む壁にも、美しいスタンドグラスがくもの巣のようなデザインで埋め込まれています。

学校では勉強をしたり、くもの友達と遊んだり、給食を食べたり、色んなことをします。

お昼休みにクラスメイトの誰かが「サッカーやろうよ」と言うと、「やる、やる!」とたくさんの賛成の声が集まりました。ちょっと運動が苦手ないとちゃんも、グラウンドに出てサッカーに参加することにしました。自分の近くに転がってきたボールを足でコロンっと蹴って、ドリブルに挑戦します。

「いと!パスパス!」

 体が大きくて運動が得意なアシくんが声を掛けてくれました。

「えいっ!」

 なんとかボールをアシくんへパスすることができました。さすがのアシくん、素速いドリブルさばきで一気にゴール近くまで進んでシュート!なんと、勢いよく蹴ったボールはゴールネットを突き破ってしまいました。

「やった!ゴール!」

「でもネットが破れちゃったね…」

 近くに集まってきたハナちゃんやツチくんは不安顔。

「私が直すよ!」

いとちゃんは腰から太めの糸を長くながーく出しました。6本のうでをすばやく動かし、ゴールネットが破けたところを糸で縫い合わせ始めました。

〝しゅしゅしゅしゅしゅしゅ…〟

あっと言うまにネットの穴がふさがって、みんなも大喜び。

「すごい!」

「ありがとう、いとちゃん」  

お友達からの言葉に「ふふふ」、と照れるいとちゃんです。ゴールネットが直ったので、みんなはサッカーの続きを始めました。ドリブルは苦手だけど、手先は器用ないとちゃんなのでした。

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