第6話 主人公リリア
明日急に竜王様がお城に来るってレイモンド皇子から聞いた。
お城はその準備でバタバタとごった返している。
どうやら竜王様が人族の国に来るのは、建国以来初めてらしい。
確かにゲームではそんな展開はなかった。
だって、二章のストーリーにはフィルメルン王国など登場しないのだから。
見目麗しい竜王様に会うには、こちらからわざわざ行かなないと、会えないと思っていたのに。
向こうから来てくれるってんなら願ってもないよね。
こんな早くに会えるなんて。嬉しすぎる!
だって! だって! だって! レイモンド皇子達もカッコ良んだけど、竜王ジェイデン様は桁違いにカッコ良いんだよね。
何回もスチルを見てウットリした事か!
「きゃー♡‼︎」
どうしよう!? 何を着て会おうかな?
一番綺麗な私を見て貰わないと!
「ウフフッ」
邪魔なアリスティアはもう居ないし、この世界の
美しい竜王様も魅了魔法で私の虜にしてあげる。
あー! 魅了魔法って最高。
★★★
次の日どうにか迎え入れる準備がギリギリで間に合い、広間の会場に龍人族の人たちが続々と入場してくる。
入ってくる人、入ってくる人、美しい人ばかり。
竜人って美形ばかりなの?皆カッコ良い!
あっ!竜王様が登場した。
ヤバイかっこいい。
オーラが格段に違うわ。
はぁ……。見惚れちゃう。
ポーッと見惚れたら、竜王様が一目散にコッチに歩いて来てない?
先に国王様とお話とかしないの?
とうとうレイモンド王子の前に来てに話かけている。
なんで王子?
それにしても近くで見ると、なんて綺麗な顔。
会話に耳を研ぎ澄ませていると、アリスティアのお話をしてない?
はぁ? 何でアリスティアの事なんて話してるの?
あの子はもうこの世にはいないのよ。
アリスティアがどれだけ悪女で酷い女だと吹き込んどかないと。
そして私のことを俺が守ってあげなくちゃいけない女だとアピールしなくちゃ。
私は必死にアリスティアの悪口をいつものように嘘をついて適当に言っていたら……。
何だかいつもと様子が違う。
あれ……竜王様の目が怖い。
何でそんな顔で私を見てるの。
魅了魔法効いて無いの?
私はさらに強く魅了魔法を放つと、竜王様が口角を上げニヤリと笑うと、私を馬鹿するような目で見てきた。
『ふうむ? 俺に魅了魔法は効かないよ?』
「へっ!?」
なっ! なっ、何で魅了魔法使ったのが分かったの?!
今まで誰にも気づかれなかったのに。
魅了が効かないなんて、どうしたら……。
それじゃあ竜王様を簡単に攻略できないじゃん!
必死に対策を考えていたら……。
———あれ⁉︎
皇子達の様子がなにか変だ。どーしたって言うの?
もしかして……王子たちの魅了魔法の効果が消えた?
竜王様が放ったあの眩しい光で、そんなに早く効果が出るの?
効果が切れそうになったら、また新たに魅了魔法をかければいいと思っていたのに。
———そんなにすぐ効果が現れるとか! 聞いてない!
急いで魔法をかけなおさないと。
あれ? 魔法が効かない? 何で?
「リリア、お前はとんでもない事をしてくれたな!」
ヤバイ、レイモンド王子が問いつめてくる。早く魅了魔法を!
「リリアさん! 貴方と言う人は何て事をしてくれたんだ! 僕は姉さんを……!」
皆が私を急に責め立てる。
こんな展開知らないよ。
私は主人公なんだよ⁉︎
何でチヤホヤしてくれないの?
私は何も悪くないんだから!!
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