第32話



 一方、ジェイミーとダミアンが会話中の執務室の前では……。



「いやぁ~ダミアン様、嬉しそうだなぁ」



「ジェイミーちゃんがこっち来た時、顔見えただけですっげー笑ってたもんな」



「……なぁ、トップシークレットなんだが」



「「「「「なになに?」」」」」



「……ダミアン様、学園を卒業してから三年間、ジェイミーちゃんにアタックしてたみたいだぞ。一つも返事無いのに」



「「「「「ひ、ひえー!!!!!」」」」」



「執着しすぎ!怖っ!」



「ジェイミーちゃんに近付かないよう気を付けよう」



「それがいい」



「はぁ~折角可愛い女の子に会えたのにな」



「出会いのチャンスかと思ったのに」



「あ、だけど昨日から公爵家の中にも入れるようになったじゃねーか。可愛い子いた?」



「めっちゃいた!流石公爵家だよな、侍女のレベル高くてビビった」



「おお!!やっぱ公爵家の護衛達に頼んで合コン組んでもらおうぜ!」



「早く公爵家の中、行ってみてーな。当番回って来んのいつだよ」



「楽しみだなぁ……あ、そういえば、セリーヌ様の体調は大丈夫だったのか?」



「ああ、部屋を覗いたら微笑んで下さったから、そこまで悪くはないだろう」



「っておい、部屋覗いたのかよ!どうだった?!」



「セリーヌ様らしい可愛い部屋だったな」



「いい匂いした」



「お前たち、殿下に殺されるぞ……」




 きゃいきゃいと会話を楽しむ護衛達。だが、彼らはまだ知らない。ジェイミーが公爵家へ戻った後、ダミアンから厳しくお仕置きされることを。お仕置きの理由が、彼らが『ジェイミーちゃん』と呼んだせいだということを。


 彼らはまだ知らない。ダミアンのジェイミーへの想いが、執着などという言葉が軽く思えるほど重く強烈なものだということを。



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