第5話 リンク

銀色に輝く指輪を愛おしむように見つめながら彼女は言う。

「これは私の存在意義。これのお陰で私は今生きていけてるの。まあ、正しく言えばこれをくれた人のお陰なんだけどね。

君はラドリオという企業を知ってる?」


随分タイムリーだな

「あの、リンク計画の?」

「あ、何だ、知ってたんだ。じゃあ話が早いね。この指輪、これはその計画の被験体ひけんたいである証。私の手、握ってみて」


彼女は肌色に薄紅うすべに色が少しかかった綺麗な手を俺の正面で広げる。


……?!

「冷たいでしょ?私の手、機械で出来てるの。他にも体の3割ぐらいは機械だよ」


3割は機械。と言われても、まるで分からないほど自然な見た目をしている。少し不気味さを感じるほどに。


「私ね、小さい時に事故に巻き込まれて、死にかけちゃったことがあってね。その時にラドリオが助けてくれたおかげで今私は生きてるってわけなの。」


ラドリオという企業が何を目的にしてこの計画を行っているかは分からないが、彼女の命を救っている訳だし、良い企業なのか。


それに救われた彼女はきっと価値がある人なのだから、相当腕が立つのだろう。


「長々と話しちゃったね。それで、私がここに来たのはする相手を探すため」

「それで俺を?」

「最初は、一人でもなん無く生きて行けてたから、 相手を探すつもりは無かったんだ。でも、リンクをした二人組に会ってさ、二人は強かったし、 何より楽しそうにしていてね。

その姿を見て憧れたんだ。憧れたし、独りが寂しくなった。

それから相手を探し始めて、老若男女ろうにゃくなんにょ色んな人に会って来たけど、あんまりしっくりこなくてさ。行きづまってた時にある話を聞いたんだ。“空を駆ける少年”の話を」 


ユキナはおもむろに自分のポケットからハンカチを取り出して言う。

「リンク計画では、被験者に合った能力を譲渡じょうとさせるんだ。私は……」

彼女が手に持っていたハンカチが、宙に浮く。

「“風”を操る」

ハンカチは俺の眼前がんぜんをひらひらと動き回る。



「空を飛ぶ君に興味が湧いてね、会いに来てみたの。でも、まだ会いに来ただけ。これから君を知るから、しばらく君に付きまとうね」


こうして、俺とユキナは行動を共にすることとなった。







𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷𐰶𐰷


筆者の小噺


ここまでお読み頂きありがとうございます!


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リンクについてすこ〜し補足。

リンクでは、相手の脳機能を互いに自分の物として使えるようになります。

単純に2人分の脳力が使えるようになるので、

五感とか特殊な能力の練度が上がる。

みたいなものです。

きっと作中でも説明がある…筈です。

その他いろいろありますが、世界観としてなあなあで楽しんで欲しいです。



評価を頂けると途轍もなくやる気が出て励みになりますので、是非ともお願いします!


これからも楽しんで行ってください✌

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