救助
「にしても、何でこんなに長えんだよ」
振り返りながら紅亡はこぼす。
「外観どんな感じだったの?廊下は長いけど、相応のスペースがあるんじゃ」
「無い。見た感じ、ただのビルだった。どうせ兵団の刃術だろうよ」
ホルスターから銃を抜くように、回転させながらスマホを取り出した紅亡。
「つーわけで、アレを頼る」
「アレって何?てか…ダサっ」
謎のカッコつけに引く系糸を余所目に、彼は電話をかけた。
「心做か?あー俺だ。クソ面白え話を二万円で売ってやる、買え」
「どういう電話の入り方なの?それ。そもそも団長をアレ呼ばわりしてるし」
「〜〜〜!〜?〜!!」
「急に聞き取れなくなったんだけど…」
「〜@#$%^&*¥!!」
訳の分からない単語を大声で口走り続ける紅亡に辟易した系糸がへたり込んで、約1分が経過した。
「〜〜!頼んだぞ!」
通話は終わったようだったが、結局聞き取れたのはあの珍妙な入りと最後だけだった。
「つーわけでだ。本人の代わりに震奮が来てくれることになった」
「震奮?あのムキムキの?」
「…ん?いや合ってんだが、何で知ってんだお前」
「入団時に戦う羽目になってさ。手加減だとしてもあの人、強かったなぁ…」
系糸は人差し指で頭を掻く。
「」
紅亡は踵を返し、走り出した。
「え?どこ行くの?」
「牢に一度戻ってみる。あの近くに、俺が開けた穴があるはずだ」
―――
震奮は屋上に立ち、自分の頬を叩いて喝を入れた。
「気は進まねえ。なんで森羅万象に喧嘩を売るようなクソ盟団を相手にしなきゃいけねぇんだ」
足首から血刃を引き抜き、柵に向かって歩く。
「はー…後で紅亡にも飯を奢らせるか」
血刃を両手で持ち、振りかぶった。
「沸血!!」
元のパワーと、沸血によって上昇したスピードの乗算により、恐ろしい速度で地面に突き刺さる血刃。
「
指を鳴らす震奮に呼応するように、突如地面が揺れ出した。血刃が刺さった位置を震源とし、その波はどんどん大きくなっていく。
「沸血で威力を上げつつ、範囲も絞ってる。ビルごとぶっ壊せばこっちのモンだ…!」
ゴゴゴゴゴゴ…
揺れる地面に気付いた兵団の者達が、ぞろぞろと外に出てきた。いずれも血刃を構えてはいるが、その足取りはおぼつかない。
「へっ…出てくりゃこっちのもんだ、一網打尽にしてやる」
二本目を地面に投擲し、深呼吸。
「
爆音が響き渡った後、空へと舞い上がる兵団員達。
「深紅亡をまともに相手する気は無い、今だな」
震奮は飛び降り、中に滑り込んだ。
「仕掛けておいて、後で一気に…」
一定のスペースを保ちつつ、床に血刃を刺しながら走る。
「長い廊下だ…仕掛けまくれば、その分威力は上がる!気づかれる前に…」
「特殊刃技:
ビル内に、衝撃が迸った。
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