第21話 幸せな生活
私はミスカトリック学園への入学の手続きをする事になった。
入学書類への文字の記入も何故かスラスラ出来るのは転生特典なのだろうか?
でもよく考えると私は学費払えないじゃん!!と焦ったけど、才能が認められた私は学費どころか特待生としてタダで学園の寮に住めることになった。
学園の生徒は本当にみなイケメン、イケジョ揃いで目の保養になる。
でも私は1年生のクラスに入ったので皆16歳くらいなんだよね。
私は21歳だからどうしても距離を感じてしまう。
学校の授業はこの国の国語や一般教養から魔術についての知識まで幅広かった。
私が呼び出した河童と名付けられた気持ちの悪い魚人間は言葉も喋れる事がわかった。
言葉が喋れると今までにない色々な使役仕方が出来るのだ。
陸上でも水中でも活動できる水陸両用な点も高評価され、利用価値が非常に高いって事で学園だけでなく国中で大人気になった。
魔物の使役の話題はこの河童が独占していると言っても良いくらいだ。
皆に求められるものだからこの1年の間に100体くらい召喚しただろうか。
とんでもなく高い価格で取引されるものだから、かなりの収入も得てしまった。
召喚には大きな魔力が必要で、何体も一気に召喚はできない。
それでも河童召喚の魔力は普通より少ないらしく3日くらいで回復する。
テイムにも魔力が必要だそうで魔力の回復よりも消費の多い魔物はテイムできない。魔力が完全になくなるとテイムが解けるだけでなく、しばらく寝たきりになるほどダメージがあるらしい。
この河童は人とあまり変わらないサイズなのでテイムの魔力もそこまで必要ない。
それも河童の大きな魅力のようだ。
さて、私のこの世界に来た時の願望=イケメンに囲まれて、色々なタイプのイケメン達からコクられて、みんな好きなんだけどどうしよう〜!?って状態になりたい!
ってのが実現できているか?と言うと全くできていない。
私はどちらかと言うと異国の魔術師として尊敬はされているけど他の生徒達に距離を置かれてる。
年齢も21歳だから彼らよりかなり歳上だってのもあるけど、私よりも数倍可愛い女の子達が揃ってるので、そもそも私は恋愛対象として見られてないのだ。
でも私はそれで良いのだ。
私は恋をしているのだから。
相手は若い頃のブラピそっくりのイケメン先生ブラッド(私だけの通称:ブラピ先生)だ。
ブラピ先生は私の召喚する魚人間(通称:河童)を大変気に入ってくれて、私が召喚する河童はまずブラピ先生にテイムしてもらっている。
そのために彼が顧問を務める『召喚テイムライフ』という学内クラブに入った。
このクラブの活動はテイムした魔物を如何に効率よく活用するかってのを研究する事。
私はテイムが出来ないのでテイム魔術の練習をブラピ先生から手取り足取り教えてもらっているが、頑張ってもやっぱりテイムは出来ないみたい。
天使に貰ったのは魔物召喚の杖なんだから当たり前なんだけど・・・。
でもプラピ先生は優しく私に接してくれてるの。
そしてついに2年生の夏、私はブラピ先生に告白したわ。
ブラピ先生は卒業したら結婚を前提に付き合ってくれるって言ったけど、私は待ちきれなかった。
2人だけの時に教室で彼にキスをした。その流れでついに体も結ばれた。
教室での行為は背徳感があって、何よりいけない恋だと言うのもあったから物凄く良かった。
ブラピ先生とはそれから何度も愛を確かめ合ったの。
今は本当に幸せだ。天使様に感謝しても仕切れないよ。
そして、3年生への昇級試験がやってきた。
1年生の時は魚人召喚で試験をクリア出来たけど今度は違う魔物を呼び出さなければならない。
ブラピ先生は「僕の授業の成果を出してご覧。凄いの呼び出してみろ」と応援してくれている。
そう私はブラピ先生の召喚魔術の授業を受けてきた。ブラピ先生は召喚魔術も超一流なのだ。
その中で召喚する魔物のイメージと繋がりを感じる事が重要だと学んだけど、私はいくらやっても河童しか召喚できなかったのだ。
綺麗なユニコーンを想像してみても出てくるのは河童(魚人間)だ。
その河童もどきが大人気になったので困る事はなかったのだけど、今回はステップアップが求められている。
凄い魔物を出すぞ!
そう心に強い心を持って試験会場に向かった。
*****
試験会場は入学試験の時のように学年全員が学園の庭に集まる。
皆試験に意気込んでいるので若い生徒たちの熱気に溢れている。
校長先生が用意された木製の壇の上に登っててくる。
「皆さんがこの2年間学んできた全てを発揮してください。試験結果は昇級だけでなく3年生のクラス分けや内申点に影響しますからね。
ではまず召喚とテイムの試験を始めましょう。まずは2年A組からお願いします。
テイムが出来る生徒の皆さんは現れた魔物を競ってテイムしてください」
「2年A組始め!!」
担任の先生が声をかけると、みな次々に魔物を召喚してテイムしていく。
大きい魔物にはスレイプニル(8脚の大型馬魔物)を召喚したものもいた。会場にどよめきが広がる。
スレイプニルをテイムできる生徒はなく、ブラピ先生がテイムをして場を収めた。
そしてついに私の番が廻ってきた。
生徒、先生達、皆が私に期待をしている。
何よりブラピ先生が私を祈るように見つめている。ここはブラピ先生のためにも頑張らなければ。
すっごい魔物!すっごい魔物よ出よ!! 「召喚!!」
私は杖を振る。
黒く巨大な球体が突如現れる。
何これ!?20-30mはあるのではないだろうか。
そしてその球体がしばらくその場に留まったあと消えると、そこに巨大な人のような生き物が座っていた。
太った巨大豚人間のような体のそいつはゆっくり辺りを見回す。
豚のような皮膚と体毛だが色は黒い。顔は豚とカエルを合わせたような醜い顔をしていて、体からはゲロが腐ったかのような異臭がする。
巨大な豚の悪魔と言われても信じてしまう。体の奥から悪寒が走るような恐怖を感じ、私の心臓がバクバク音を立てている。
「なんだこいつは!?」
「こんな巨大な生き物は初めて見たぞ」
「巨大すぎる!巨大オークなのか!?」
「何じゃこりゃ〜〜〜」
生徒が大騒ぎしているのが聞こえる。
「皆気合いを入れてテイムしろよ!!
テイム初め!!」
ブラピ先生が命じる。
「テイム」「テイム」「テイム」「テイム」
と美男美女のテイム持ち生徒が叫び始める。
しかし、全くテイムされる様子はない。
黒豚巨人の悪魔の顔がゆっくりとこちらに向けられた。
・・・見られている!?
!!!!?
頭が痛い!!頭にズキッと痛みが走る。
頭痛は私だけではないみたいで、他の生徒も教師もテイムをやめて頭を抱えだした。
その後、頭の中に何かこの黒豚巨人の悪魔の意思らしきものが伝わってくる。
悪魔はどうやら『この人間達が次の贄か?』と尋ねているらしい。
『違います!!!』私は全力で頭の中で答えた。
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