第13話 魔族の国
俺は聖槍グングンヌクと仲直りをして、ロホミンという女魔法使いと、プロトという真面目を絵に描いたようような聖職者とパーティを組んで魔族領に向けて出発する事になった。
ロホミンは当初「こんな変態槍に変態男と旅をするのはいやです」
とか言ってやがったが、「女神の御神託」という一言で「仕方がないですねえ。でも私に手を出そうとしたら焼き豚にしますからね?」と抜かしやがった。
ほんと口が悪い女だぜ。いつか俺の逸物で喘がせてやる!!
そして依頼主の女聖職者だが、娼館へは金貨一枚しかよこさなかった癖に、旅立ち前には立派な鋼の全身鎧を渡してきやがった。
理由は御神託には勇者は鎧を着ているとあったからだそうだ。
だがな。全身鎧は旅では大問題だ。重いだけではない。靴擦れならぬ鎧擦れで痛いし蒸れる。それが靴擦れなんて生やさしいもんじゃねぇほど苦痛なのだ。
馬車が必要だと言ったら粗末な馬車が用意されたが、それも途中の畦道で車輪が壊れやがった。
結局は馬に荷物をくくりつけて歩きの旅になったのだ。
歩きで全身鋼の鎧は本当に耐えられん!
俺は早々に鎧を外し馬にくくりつけた。
歩き旅で全身鎧なんぞ、小説の作り話だぜ。
結局はお荷物になってしまったため、鎧は一つ目の街で売っぱらった。
なんと金貨150枚で売れた。
買い叩かれてこれだ。本当なら300枚は降らなかったはずた。
魔王討伐の褒賞金より高値だぜ!?魔王どんだけ安いんだよ。
そのままトンズラしてやろうか?
まあいい。魔王はグングンヌクが倒してくれるわけだし、褒賞金の金貨100枚はもらっておかねばならねぇな。
この金で聖槍様を娼館へ誘ったのだが、こんな田舎町の娼婦などいらんといわれた。
コイツ!選り好みするようになっていやがる!!
そしていよいよ、魔族の国の街に入った。
一つ目の街の検問には聖王国からの旅人が列をなしている。
魔族領っていうから普通の人は寄りつかないのかと思ったがそうでもないらしい。
魔族の兵士にどのような目的の入国か?と聞かれ、バカなグングンヌクが「女を貫くためだー!」とか言ったものだから騒ぎになったが、娼館に行って魔族の女とやりたいんだと言うと、
「いやあそうでしたか。女を貫くってそう言う意味でしたか〜。
多いんですよ。魔族の娼婦目当てで遊びにくる人間族は。ここに来る人間族の半分はそれが目的ですね。
人間族の男性にすると魔族の女性は容姿もテクニックも最高らしいですね。病みつきになる人が大勢いますから。
是非、楽しんで行ってください」
と、魔族の兵士はあっさりと通してくれた。
性には寛容な国らしい。
確かにこの街の魔族の娼婦はスタイルもテクニックも最高で、しかも魔族の娼館はグングンヌクとのプレイもNGなし!!
素晴らしいじゃないか!魔族の国は!!
魔族の人は皆気さくで明るい。
それでいて俺が偉そうな態度をしても嫌な顔ひとつしない人が多いのだ。
俺をすぐ牢屋にぶち込む聖王国とは大違いだ。
そうは言っても魔王が暮らす魔族の都が近づくと、検問が厳しくなり娼婦を買う目的では簡単に街に入れてもらえなくなった。
そこでもやはりバカなグングンヌクが「俺様は聖槍のグングンヌク様だぞ。
魔王討伐の邪魔をするのか〜!!」
などと言うからとうとう戦闘になっちまったぜ。
威勢だけではなく実際にグングンヌクは強かった。
門兵だけではなく街の中からやってくる兵士達を次々と貫いていく。
しかし、それよりもロホミンの魔法の方がやばかったのだ。
「赤より赤く太陽より赤き地獄の炎に我が••••。」と、
とにかく長い詠唱が必要な魔法なので、その間守ってやる必要があるのだが、それは司祭のプロトが完璧にこなしている。
「これこそが超絶の戦術級攻撃魔法!インフェ〜ルノー!!」
そう唱えると巨大な炎が爆発したかのように現れ、街全体が火の海に包まれた。
逃げ惑う女や子供達の叫び声が聞こえる。
しかし強烈な炎は彼ら彼女らを非情にも焼き殺していく。
この女、ほんとに酷いことをしやがる。
住民皆殺しする必要が何処にあるんだ!?
街から叫び声が消え住民が焼け死に絶えた後に出たセリフがまた酷い。
「もう!手間を増やさないでくださいよ。穏便に済ませれたのに」
この地獄絵図の状況を作っておいて、平気な顔をして人のせいとか、お前こそ悪魔だろう。いや閻魔か?
いつかこの女を抱こうと思っていたが辞めておこう。こんな恐ろしい女はさっさとおさらばしなくては。
魔族の女の方がよっぽど可愛げがあるぜ。
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