第9話 俺は勇者だ!

ふと気付くと、俺の周りを白いローブを来た男女が取り囲んでいた。


どうやら室内のようで大理石のような石の床と柱が特徴的な場所だった。


「おおーー!!」

「素晴らしい」

「召喚成功しましたな」

「これで我が国も救われる!」


白装束の連中が俺を見て声をあげる。


「なんだテメェら!!ここは何処だ!」


「お招きして申し訳ない。ここはアカン魔族王国で私は魔術院長のアモンと申します」


「アカン?魔族?またおかしな奴らが出て来やがったぜ。だがなこっちにはM16がある。かかってこいや!こら!」


俺は肩に掛かっていたM16を白装束たちに向けて構える。どうだビビったか?


「いえいえ、私たちは貴方様と争うつもりはありません。女神の加護を持つ勇者として貴方様を召喚させていただいたのです」


「召喚??なんで俺がお前達に呼ばれなきゃならないんだ」


「今この国に敵国が召喚した悪魔の使徒が迫っております。

その悪魔の使徒に我々は傷一つ与える事が出来ませんでした。

ですので女神の加護を持つ貴方様の力で使徒を撃退して欲しいのです。」


「なぜ俺がそんな事しなきゃならないんだ!?断る!!」


「もちろん贄でもなんでも貴方様に捧げましょう。どうかこの国をお救いください」


「なんでもよこすと言うのか?」


「よろしければ私の命も捧げましょう」


「そんなクソなもんいるかよ!金も女も望むままか!?」


「金と女でよろしいのですか!?」


「手始めに飛び切りの女を連れてこい!その女を見てから考えるぜ」


「畏まりました。使徒がこの街に来るのは明日の早朝と思われます。もし我が主が倒れる事になればこの国はお終いでございます。

どうかこの国をお救いください。

アヘン。勇者様をお部屋にご案内して」



案内された部屋に来た女はブロンドの飛び切りの美人だった。短いツノが生えているのはご愛嬌だが、胸もケツも大きく締まりも最高で俺はこの女に惚れちまった。


この女と金でウハウハ生活出来るんなら悪魔の使徒くらい俺のM16でぶっ飛ばしてやるぜ。ヘヘヘッ


「良い女だったぜ。この女は頂く。その使徒と言う奴を倒した時はさらに飛び切りの女を2人、金は一生遊べるほど用意しろ。それで手をうってやる」


「ありがとうございます勇者様!!もちろんご用意いたしましょう」



ーーーーーーー


その晩、俺は女を寝かす事はなかった。たっぷり可愛がってやったさ。


そろそろ寝ようかと言う早朝、部屋の扉をノックする奴がいる。


「なんだコラ!俺はそろそろ寝るんだよ!」


「勇者様!!敵の使徒が現れました。門は既に破られてこの御殿を目指して来ています!お助けください!!」


「ああ!? まあ、わかった案内しろ」



ーーーーーーー


「うわー!!」「逃げろーー!!」

「助けてくれーーー!!」


この国の兵士がどうやら使徒とやらと戦っているようだが、その声は完全に負け戦だ。


しかし、これだけいる兵士を蹴散らすとはどんな奴なのか?

頼りにしているM16で倒せるのか?少し不安になる。


しかし、現れたのは西洋の鎧に身を包んで剣を振り回す男の戦士と、赤いローブに杖を掲げる女、そしてキリスト教の司祭のような格好をした男の三人だった。


ビビって損をしたぜ。

あんな奴らにM16は大袈裟すぎるじゃねえか。


3人の使徒が近づいてくる。


「そこで止まれ!!蜂の巣にされたいのか!?」


20mほどの距離のところで俺はM16を構えてそう脅してやった。


「お前は何者だ!!邪魔をするなら切る」


西洋の鎧を付けた男が剣を構えて返事をして来やがった。その距離で剣が役に立つかよ。


「俺はお前ら悪魔の使徒を倒せって呼ばれたもんだ。お前らなど一瞬で骸にできるぜ。

大人しく武器を捨てりゃあ助かるんだがな。特にそこの女はいい体してやがる。俺の女にしてやるぜ」


「下品な奴め、下賎な魔族の仲間と交渉はしない。勇者の剣セクスカリバーを受けてみよ!」


そう言って鎧の男が走り出した。


「バカな奴め」

俺はM16の引き金を引く。


しまった!セーフティを解除するのを忘れていた。



慌ててセーフティを解除して構えると鎧の男が5mほどまで迫っているが、慌てず俺は引き金を引いた。


ドドド!


セミオートの全弾がその戦士に命中しただろう。


しかし、何故か奴はそのまま走って来て、


俺の体は半分に裂けた。


俺が最後に聞いた言葉は「なんだよ雑魚じゃん」だった。

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