第8話 プレゼントは必要

真っ白な世界が色を取り戻す。


目の前にいたはずの糞アマはもういない。目の前には草がボツボツと生える程度の荒涼とした大地が広がっているだけだ。


俺は咄嗟に自分の腕を持ち上げマジマジと見る。

なんだよ。ちゃんとあるじゃねぇか。

俺は夢を見ていたのか?


そう言えば俺は女を連れて飲み歩いている所だったはずだ。その女は上玉で元は俺の舎弟の女だったが俺が強引に取ってやったのさ。へへへ。


俺はその女のケツを触りつつ歩いていたんだが、突然後ろからそのボケ舎弟が声をかけて来て、、、。

それなのに次の瞬間、何故か雲の中の様な場所で美人だが羽の生えた変な服を着ているクソムカつく女があらわれた。


で、今は、、。ここはどこだ!?


日差しが肌に食い込む様に痛い。

だがここにはその日差しを避ける様な場所などない。

遠くに霞がかった山が見えるが、そこまでの視界に入る大地に木が一本もないのだ。


俺は仕方がなく山に向かって歩き始める。


しかし暑い。

汗が吹き出る。




喉が渇いて来た。

水はないのか??



足が重くなって来た。

喉が渇いて、腹も減ってもう動けない。


俺は休憩することにした。


日が傾き始めると暑さはマシになるが、喉はカラカラだ。


俺は水を探すためにも歩かなければならない。夕日を見ながらまた歩き始める。

なんでこんな事になってるんだ!!




夜になった。水はない。


山はまだ遠いのだろうか?山に行けば水があるはずだ。


しかし、もう疲れた。一旦ここで寝る事にしよう。





グルグルグル グアァ!!


俺はそんな獣の声で目を覚ました。


月明かりの中、俺の周りを大きなオオカミのような獣が囲んでいる。


「なんだお前ら!!俺と勝負すんのか!!」


俺は威勢を張る。やられてなるものか!


しかし、そんな俺の声を無視してソイツ等は一斉に飛びかかって来た。


俺は跳ね除けようと手足をバタつかせるが、その腕、足に獣の牙が食い込んだ。


そして奴らは互いに俺の四肢を引っ張りあう。腕がもげる!!


腕がもげた激痛も凄まじいが、それと同時に獣が俺の首に牙を突き立てそのまま喉仏を引きちぎった。


俺の首元から大量の血が吹きでた。

なんじゃこりゃあ〜〜〜。


そこで俺は意識を失った。



ーーーーーーー



「あれだけ威勢を張ってたくせに、もう帰って来たの!?まだ一日も経ってないのよ!?」


俺の前にはまたクソ女がいた。天使の羽のようなものをつけた自称天使と言うイカれた女だ。


「ここはどこだ!? 俺は荒野でオオカミに襲われて、、、。

なんでお前がいる!!」


「私がせっかく転生させてあげたのに、1日で死ぬなんて、くそ雑魚じゃない。

ちょっとは期待したのに残念よ。弱い男なら最初からそう言ってよ」


「なんだとコラァ!!!もういっぺん言ってみろ!!」


「弱い奴ほど良く吠えると言うのは本当なのね。1日で死ぬはずだわ」


「あんな荒野で生きて行けるかよ!!だいたいここは何処なんだ」


「ここは貴方達の言うところの天国かしら?私は魂を管理する天使よ」


「天使!?そんなもの信じられるかよ!!俺に何をした!変な幻覚を見せやがって!!」


「あー面倒臭い。頭が悪い奴の相手はほんとに面倒臭いわね。幻覚でもなんでもいいわ。弱っちい貴方に特別にプレゼントをあげましょう。

新しい幻覚の世界に行く時に何か欲しいものある?」


「また幻覚を見せる気なのか!!くそお!!水筒だ!大きい奴。それと拳銃をくれ!!グロック19でいい、それと自動小銃だM16をよこせ!」


「あのねぇ。なんでもあげるはずないでしょ。一つだけよ一つだけ」


「うるせえ!!ババア!全部よこせよ!」


「ババア!?天使をババア呼ばわりして許されると思ってるの!!

でも面倒臭いからもういいわ。今回だけ特別に全部あげる。もう二度とないわよ」


「つべこべ言わずによこせば良いんだよ!!」


「はいはい。じゃあ行ってらっしゃい!」


俺の目の前が真っ白になった。

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