第3話 巨大ファイアボールの杖を使う
俺はまた草原に立っていた。
手には先ほどより太い杖が握りしめられている。杖の先に付いている丸く赤い宝石もバカでかく、赤いメロンが先についているかの様だ。
よっしゃ!!これであのゴブリンどもを火炙りにしてやる!!
そう意気込んで杖を振り上げようとしたが、これがめちゃくちゃ重かった。
重いというか重心がおかしい。
斜めにすると俺が重さに負けて倒れそうになる。
どうにか2本の腕で杖の上の方を持って振り上げた。
「杖にするなよ。こんなの」
しかし、俺は復讐心に燃えていた。
これだけ大きな宝石がついた魔法の杖であれば威力も凄いに違いない。
10mものファイアボールなら避けることすら出来ないだろう。
重さだけが課題だ。
この杖をうまくコントロールしなければならない。まずは試し撃ちをしておこう。
遠くの木を狙おうとするが、これが大変だった。
杖の先の方を右手、真ん中の方を左手で掴んで狙いを定める。
まるで機関銃を腰で打つアーノルドシュ◯ルツネッガーになった気分だ。
ようやく試射の狙いが定まったので張り切って声をあげる。
ファイアボール!!!!
杖の先に10m??かどうかはわからないが巨大な火が生み出される。
その巨大な火の玉はどんどん大きくなり俺の踏み込んだ足と、宝石の近くに伸ばした右手を飲み込んだ。
ゴ〜〜〜〜!! 爆音を放って飛び出す巨大火の玉。
ドカーン!!!
巨大火の玉は見事に狙いの定めた木に当たりそのまま周辺を焼き尽くす。
大きさに違わぬすごい威力だ。
俺の手足は大丈夫かって?
俺の手足どころではない。
「ウガァ〜〜〜!!!」
巨大なファイアボールの熱で服が燃え、皮膚が爛れ、全身に強烈な痛みが襲う。
熱いどころではない。
既に目も焼けて見えない。
そしてその痛みは脳をも焼いた••••
とんでもない苦しみの中で俺は意識を失った。
———
「えええ〜〜〜!!早すぎ!!!なんか私に恨みでもあるわけ?!何回も何回も!私だって暇じゃないのよ!!」
意識が戻ると何やら天使の格好をした女が俺に向かって怒っている。
ふと気付く。あれだけ強烈だった痛みがない。
ああ、俺は焼け死んでまた戻ってきたのか。。
「あんたねぇ!いい加減にしなさいよ!!」
天使紛いの女が怒っている。
そんな事はどうでもいいのだ。
あの炎の痛みと恐怖は小鬼の時に感じた恐怖以上だった。俺は放心状態だった。
「もう生き返らせないでくれ。頼む」
「何かいった!?!?」
「もう転生は嫌だ」
「ダメに決まってるでしょ!?女神様が決めたルールを私が破るわけにはいかないのよ!!!」
「嫌だ。もう嫌だ。」
俺はもう生き返らなくていい。もう酷い目に遭うのはいやなのだ。
「ダメよ!転生させないと私が職務放棄と見なされて左遷させられるわ」
「うわあ。嫌だ!俺を天国に送ってくれ!!」
「もう。だだコネないでよ。本当に面倒臭い男ね。迷惑しているのはこっちなのよ。
転生して5分で死ぬとかどれだけ能無しなの??」
「あんなものを使って生きている奴がいるのか??」
「あなたが望んだんじゃない。私に責任転嫁するつもり!?」
「嫌なんだ!もう転生は嫌なんだ!!」
「もう!仕方がないわね。面倒臭いからとっておきの剣をあなたにプレゼントしてあげるわ。聖剣エルクスよ。本当に特別なんだからね」
「聖剣?」
「聖剣よ聖剣。すっごいんだから。
聖剣エルクスはその剣自体が悪魔を切り裂くことが出来るほどの魔力が込められているのよ。
でもそれだけでは剣を振った事がないあなたは使いこなせないでしょ??」
「ああ、剣なんて振るったことがない」
「聖剣エルクスは剣が自分の意志を持っていて、貴方の意思にかかわらず剣を振ることが出来るのよ。貴方がどれだけ能無しのヘボでもその剣を持てば剣豪になれるわ。」
「本当か。。。俺が剣豪に??
もう火魔法は懲り懲りだからな。焼け死ぬとかありえない」
「私は嘘はつかない主義なのよ。
はい。行ってらっしゃい」
目の前が真っ白になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます