第7話 性奴隷の押し売り

「どうしよっか、ココア……」

「ん~……でもさ、元のあーしらじゃどうにもなんねーけど、今のあーしらはチート持ちだし、いざとなったら力ずくでも……」

「それもそうだけど……」

「でも……そーなると、この世界の警察みてーのに追いかけられ続けたり、なんか賞金首とかみたいになったりで四六時中狙われる? まぢありえねーし!」


 ノアとココアも悩む。

 今の自分たちはどういう理屈かは知らないが、勇者のユーキすら驚愕する力を持っている。

 いざとなれば力ずくでどうにかできるかもしれない。

 しかしそれは右も左も分からない世界でいきなり勇者やその他を敵に回すことにもなる。

 それならば……


「ん~……あっ♪ それなら……んふふふ~」

「ノア?」


 ノアは何かを思いついたようで、途端に艶のある笑みを浮かべる。

 そして……



「じゃーさー、ユーく~ん」


「ゆ……その、先ほどから自分のことをユーだとか、ユーくんだとか、自分の名はユーキであり、そのような呼び方は失礼ではなかろ――――ふぁっ!?」



 これではどうかと、ノアが動いた。

 

「じゃーさー……ユーくんが私たちの御主人様になってよ……私……ユーくん専用のエッチな奴隷になるからさ~♥」


 ノアの言葉に「それだ!」とココアも同調する。 


「それな! それある! ってか、それ! ユーが、あーしらを奴隷として保護すりゃいーんじゃん! あーしも、全然知らない金持ちのキモイやつとかオッサンとかにされるぐらいだったら、ユーがいい! ほんとはもうちょい仲良くなってお互い知ってから初エッチってのが理想だけど……でも、それで勇者のユーに保護してもらえるんなら、あーし、ヤル!」


 聖隷マンシール女学園は、中高一貫校の女子校である。

 学内には彼氏持ちだったり、パパ活などの援助交際含め、経験豊富で「誰とでも寝るヤリマ〇ギャル」も何人かいる。

 だが、中にはギャルの格好をしていても、出会いのなさゆえに意外とピュアなギャルも存在し、ノアとココアもそうであった。 

 奴隷として知らない男に穢されるくらいなら、ましてやこの世界ではあのオークのように人外の種族も存在するので、奴隷として相手をさせられるのは人間だけとは限らない。

 それなら、「けっこういい」、「かわいい」と好印象のユーキのみの相手なら、自分たちはそれがいい、ノアとココアは宣言した。

 ただ……


「な、何を勝手なことを! 自分はそのようなものを買ったりなどせん! そのような不埒な真似を、しょ、娼婦のようなことを、た、たわけもの!」

 

 勇者であり、ましてや元来生真面目であるユーキがそういったものを受け入れるはずがなかった。

 奴隷制度そのものは仕方ない面もありつつも、ユーキ自身はそういったものを自分が活用しようなどと思っていなかった。



「ふ、ふざけるな、え、えっち、とか、ダメに決まっているだろう! 自分は勇者だ! そ、そのような、ど、奴隷とはいえ、女性に対して、ふふ、不埒なことはできぬ! だ、だいたい、自分には許嫁もいる!」


「えっ、許嫁とかいるんだ~さすが勇者様だよね! お姫様とか貴族のお嬢様とか?」


「むっ、そ、その通りだが……と、とにかく、そういうわけで、自分はそういうことはできぬ!」



 だから、ユーキはノアとココアの提案を全面拒否した。

 だが、一度ヤルと決めたギャルは引き下がらない。



「もー、まどろっこしいなぁ~……の女の子がこんなに積極的なのに~、ヘタレ勇者のユーくんめぇ……仕方ない……んちゅっ♥」


「んぐっ! ―――――っ!?」



 ノアがまずは正面からユーキの唇をキスで塞いだ。

 ノアがユーキの唇に唇を重ね、驚いて固まるユーキの口内に舌を入れる。



「んちゅっ、えへ、初めてでいきなりベロチュー……ドキドキしてきたぁ~、んちゅ、ちゅぶちゅる、ね、ユーくんも、ペロってして?」


「――――――ッッ!!??」


 

 積極的に舌をチロチロ動かした。

 濃厚なキス。


「うわ、ノア、いきなり……しかも舌入れてとか……うわ、すっげ……あーしもドキドキしてきた」


 やり方は分からなくても知識だけはあり、「これがエッチなキス」ということを承知でノアはやった。

 

(あっ、いいかも……ユーくん、可愛い顔だけどこうして体に触れると、やっぱり男の子だなぁ……でも、唇も舌もプルプルでかわいい……なんか、熱くなってきたし……全然嫌じゃない……っていうか、もう止まらないよ~)


 ノアは初手から悪い気がしないどころか、むしろ良いと感じ、より積極的にユーキの口内を貪った。

 一方でユーキは……


(じ、自分は……自分は何をされている? 唇が……こ、これは、これはまさか、せっ、接吻ではないか!? し、しかも、舌が……な、なんだ、吸われる? なんだ、意識が遠のいて……い、いや、何をして―――ッ!?)


 ノアの濃厚なキスに呆然とし、されるがままになっていたが、ようやくハッとして、慌てて身を捩ってノアを引き剥がした。


「あ、な、ななな、なにを、何をするのだ、こ、このたわけものぉ! は、ハレンチな、な、なんたるハレンチなことをぉ!」


 顔を真っ赤にプルプル震え、しかも勇者でありながらその瞳には若干涙が。


「ええ~? きす、だめだった? え……あのさ……はじめて?」

「ッ、う、あ、つ、……自分は……こ、このような行為……ほ、本来であれば、将来を誓い合った女性との結婚式の夜にするものであるはず……ゆ、勇者である自分がなんという……」


 先ほどのようなキリっとした鋭い眼光の勇者とは打って変わっての姿に、ノアとココアは「どきゅん♥」と心奪われ、そして同時にはしゃいだ。

 

「うわああ~~~ココア~~~、やっぱりこの子ドーテーだよ!」

「ああ。これなら、あーしらでも二人がかりなら十分イケるっしょ! ってか、かわよ!」

「うん、ココア。異世界とかなんとか勇者とか抜きにして……フツーにユーくんがすごいかわよなんだけど……」

「あーしも、ギャップまぢ。つか、異世界の勇者の奴隷になって毎日エッチし放題とか、これ以上ないし!」


 涙目のユーキに対して、もう胸の高鳴りと興奮が抑えられないノアとココアは、二人がかりで同時にユーキに飛び掛かった。


「な、なにを、速い!? っ、この腕力は……な、なぜ?」

「うふふふ、あの豚さんたちよりも全然ユーくんの力強いけど~……なんとか抑えられちゃう」

「ぐっ、は、離せ! 離すのだ! これ以上の凌辱は―――」


 地面に説き伏せられるユーキ。慌てて振り払おうとするも……


「あーしも、ちゅっ、んちゅっ、ちゅっ」

「んむっ?!」


 全身の力が抜けてしまうような、濃厚のトロトロのキスをココアも炸裂させた。


「やっべ、あーしも蕩ける……んちゅっ、やべ、一回したら、もっとしたくなった。んちゅっ、れろ」

「だよね……っていうか、ユーくんの反応がいちいち可愛すぎて……私も、ユーくん、ほら、舌出して、んちゅっちゅるちゅっ」


 二人同時にベロチュー。

 ユーの口内から舌を吸い出して、その舌を二人でなぞる様に舌を這わせ、唇を舐めたり吸ったりする。

 

「やばいよぉ、キス美味しい……それに……ムズムズしてきちゃった♥」

「にひひ、あーしもぉ♥」


 熱くなり、触らなくても今の自分の身体がどうなっているか分かるノアとアクア。


「かっ、あう、あ、や、やめ……ならぬ、こ、これ以上は、んくっ、力が入らぬ……」


 そして、こういった責めにまるで経験のないユーキは全身に力が入らず、ただ呻くだけ。

 そんなユーキの身に纏うコートやその下の衣服を捲りあげ、上半身を剥き出しにする。


「うわ、ユーくん、腹筋バキバキ!」

「すっご、スリムマッチョ……さっすが勇者……だけど……」


 ノアはユーキの割れた腹筋やヘソをいやらしく撫でた。


「はうあ、あ、くすぐっ、んはぁあ、ぐっ、やめろぉぉお、こ、こちょば、い、んぐああ!?」


 その刺激に悶え苦しむように身体を捩らせるユーキ。

 あらゆる打撃を弾き返そうと鍛えぬいた腹筋が軽く貫かれる。

 そして、その反応は余計にノアとココアを悦ばせるだけ。


「ねぇ、ユーくん……女の子のオッパイ見たことある?」

「触ったこととかある~?」


 二人は蕩けた表情で、ふにゃふにゃになってしまったユーキを更に誘惑する。


「ふぇ? お、おっぱ……ッ!?」


 そして……



「ふぇ? な、にを……ま、待て! 流石に、そ、それは、ならん! 何をしようとしている! ダメだ! 自分を誰だと思っているのだ! やめろぉおおおお!」



 これから何をされるのかを理解したユーキは必死に叫ぶが、ノアとココアは止まらない。


「ユーくん、君はもう私たちの御主人様になるんだから……やってみたいこと、何でも好きなことしていいんだよ?」

「や、やめ、やめてくれ……じ、じぶんは、ゆ、ゆうしゃで……」

「でも~。男の子だし~、ほれほれぇ~」

「ひゃ、やわら、あ、ちが、だ、だめだぁ……じ、自分はァ……」

「ね、そんなに固く考えないでさ、気軽にフランクにね♪ 私たちがイイって言ってるんだから、据え膳だよぉ?」

「はぅぅん!?」

「あは、かわよ~」


 そして、これまで勇者として生きて来て、若いながらもそれなりの戦闘経験のあるユーキにとって未知の刺激が完全にユーキをノックアウトした。

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