「井戸」
好奇心が勝ってしまった。
山の麓にある井戸から人の声がする、という言い伝えを聞き、仲のいい友人たちが見に行こうと言い出した。俺は元々怪談とか都市伝説とかはあまり得意ではなかったが、それ以上に「どんな声なんだろう」といった興味が湧いてしまいついて行ってしまった。
─────
放課後、いざ井戸に向かってみると人の気配は無く、特に何かがいた跡なども無かった。
帰ろうか〜などと話していたその時、確かに井戸の中、奥深くの方から
「たすけて... たす、けて、...」
と弱々しい人の声が聞こえてきた。
俺らは完全に怯えてしまい一目散に逃げ帰った。
その日はグループLINEでも一切会話をせず、今日あったことを誰にも打ち明けなかった。
─────
次の日、一緒に井戸に行った友人の1人が休んだ。最初は山で迷子にでもなったんだろうか、などと軽い気持ちで話していたが、まるで示し合わせたかのようにもう一度あの井戸に向かおうという話になった。
井戸の近くに着きすぐに捜索を始めると、すぐそばに友人が着ていた服が落ちていた。まさかと思い、恐る恐る井戸の中を覗いた。
俺は酷く後悔した。
やっぱり都市伝説なんてのは存在しないらしい。
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