第7話 家族の愛
俺は6歳になった。
教会から無事に帰ることはできたのか?という質問だが無事に帰れた……というか迎えに来てくれたのだ。父と母が。
母は案の定とても怒っていてなんでこんなに自宅から離れた教会にいるのだと強く迫られた。父は俺を抱きしめてくれた。そしてこう言ってくれた。
「無事でよかった……ありがとう……ファンド……」
「……うん……」
俺は泣きそうになってしまった。
なぜだろう?それは母親以外に「愛情」というものを向けられたことがなかったからだ。俺はこの世界に来て初めて「家族の愛」というものがわかった。
でもきっとそれは、俺が願ったことと同じことだ。
「幸せになってほしい」「無事でいてほしい」「長生きしてほしい」「ありがとうと伝えたい」そう、俺は地球にいる母さんに「幸せを願った」。
ありがとう。そしてさようなら。
俺はこの言葉が言いたかった
しかし運命は残酷だ。
数刻もしないうちに俺は異世界に飛ばされてしまった。
「……くそ……」
俺は涙が目からこぼれる。今まで必死に耐えていたものがあふれ出した。
それは悔しさだった。
母さんにまだ伝えていない。そうだ……俺はまだ母さんにお礼も、さよならも言ってない。
そう思った俺はある決意をしたのだ。
この世界で酒池肉林を謳歌する。そして……母さんに会う。
まだ異世界に帰れる。行き来できる。そんな確証はない。
しかし前世において、たった一人の「味方」であった母さんに恩返しがしたかった。
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「どうにかしてくれぇッ!!!!」
声が家中に響く。幸い誰もおらず独りぼっちだ。
俺は6歳になってからなんと「精通」してしまったのだ。
これでなんともう「セックス」ができてしまう。
俺は体も成長してきていたのだがある異変に気付いた。
それは「体の発達速度」である。
おそらく俺の体年齢は「+2歳」くらいだ。
「だからこそ……早くやれってことだな……神様。」
俺はこっそり家を抜け出す。
そして地図を見て「冒険者協会」に向かった。
道行く人にはすごい目で見られる。
戸惑い。そして「興味」。
「……」
人の目が気になる。
それは変わっていない。
前世からそれだけは変わっていないようだ。
「いやだな……」
覚悟していたはずなのに。
人から見られることに俺はやはり慣れていないらしい。
「早く行こう……」
俺は情報収集していた情報をもとに道を行く。
そして冒険者協会に来た。
看板には日本語ででかでかと「冒険者協会」と書いてある。
どこが運営しているかは知らないがここは領主の了承を得てここに立てていることは確かだった。
なぜならその入り口にエルドルド紋章があったからだ。
「じゃあいっちょこの世界に来ての初めての「正念場」と……行きましょうか!」
俺は頬を叩き、自分を奮い立たせる。
そしてそのドアを通った。
第7話終わり
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