第6話 俺が交渉を持ち掛けて俺が破るというゴミ野郎
「……まぁつまりは相手に交渉を持ち掛けて「なになにするからなになにをくれ!」みたいなことができるわけです。」
「それって「セックスさせてほしいから金あげる」とかでも金上げなくていいってこと?」
「あの……ファンドさん?お忘れじゃありませんか?ここ貞操観念が逆転した世界なんですよ?」
「あ……」
「逆に「セックスしてやるから金をくれ」でも全然成立しますし、ファンドさんにとっては最高じゃないですか?」
「確かに……」
そう、一方的にルールを破るとはいえ、武力で封じられてしまったらなにもできない。
つまり俺がルールを破りたいときは「相手に暴力を振るわせないよう交渉」
して「???をしてほしい」みたいなことに持っていくわけだ。
「ちなみに自分がルールを破ってしまってもその契約はなくならないです!
他の人はその人の「人権」を獲得できますが、ファンドさんはそんなことにはならないです!」
「つまり俺が破ったからと言って契約は続行、そして相手が契約はなかったことになったと困惑しルールを破った瞬間俺の奴隷になる。そういう解釈でよろしいか?」
「はい!その通りです!」
これまじでチートだな。
言ってみれば「なんでも言うことを聞かせられる」というチートだ。
「しかしこれには条件があってですね……」
「ああ、おそらく相手の交渉の「受諾」がないといけないんだろう?」
「そうです。」
「つまり俺は話術で相手を巧みにだまし、交渉を持ち掛けて受諾させる。
そして受諾させたあとは俺の一方的な暴力が始まるってことか?」
「そうですね!」
「よし!気合入ってきた~!」
「ちなみにファンドさん!」
「?」
「あなたが早くセックスできるように「精通」を早めにできるよう体に調整が施してあります!」
「ッ!?」
「5歳ですね。だから後一年後——」
「おい!それはまだちょっと早いよ!」
「あ、もうすぐ時間ですね……じゃあまた教会に遊びに来てくださいね!」
「あ、おい!ちょっと——」
俺の視界は暗転した。
~~~~~
「お~い!聞こえる?ボク!」
「ん?んぅ……」
「大丈夫?急に神像の目の前に立った瞬間に倒れるからびっくりしたよ——」
「ッ!?!?!?」
俺はさっきの教会のシスターらしき人に膝枕されていたのだ。
俺の頭の中はパンク中。
そして導き出した答えは「堪能する」ことだ。
「あ、あの……ボク?」
「ごめん教会のおねえちゃん……ちょっと寝させて……」
俺は渾身の寝たふりを披露する。
この世界に転生してから母が部屋にくるたびに寝たふりをして母をだまし、
窓からこの世界を偵察していたこの俺にかかればこんなこと造作もない!
「わ、わかったわ……?(キャーッ!こんな小さな男の子が私の膝なんかで寝てくれるなんて……本当に……ここは現実かしら……?)」
彼女は顔が火照っているのがすぐにわかった。
この俺でもわかるのだ、めちゃくちゃ赤いのは言うまでもない。
そして俺は小一時間そのムチムチの膝を堪能することにした。
匂いはフローラルな香りでくらくらする。
前世で嗅いだことがない匂いである。
俺は微妙にすりすりする。
「……あ、あのぉ……すりすりしないでくださいぃ……」
俺は寝たふりを続行する。
「ほ、本当に寝ているんですよね……」
「むにゃむにゃ」
「も、もう!起きてるじゃありませんか!」
「へへ……ばれちゃいました……」
「そんなことばかりやっていたらいつか女性に食べられちゃいますよ!女性はみんな狼さんなんですから!」
なるほど……やっぱり逆か……
「大丈夫ですよ。こんなことするのおねえちゃんだけですから……」
「ひゃぅ!?」
「すみません!失礼なことして……じゃあ僕帰りますね——」
「あ、あの!」
「?」
「いつでも……来ていいですからね……お待ちしてます……」
彼女はにこっと笑う。
めっちゃ笑顔。
まじで惚れるとこだった。
というか惚れる。
まじでこの世界の顔面偏差値どうなってんねん……
でもごめん!少し試させて……
「あの……おねえちゃん?」
「どうしたの?」
「僕の頭なでて?その代わりおねえちゃんの頭なでるから……」
「え?うん……いいよ?」
ここで契約は成立。そして破った場合その人の奴隷になる。
しかし俺はそのペナルティはない。
「よしよし……」
「えへへ~」
いっけね!?声でた……
やばい幸せすぎる……なんだこの人は……
数十秒なでられた後、なでなでが終わって次は俺の番になった。
「ありがとう!おねえちゃん!」
「うん……じゃあ次は私の頭なでてもらっていい?」
「これって破ったらどうなるの?」
「ッ!そ、それは……」
『契約に反しますか?』
頭の中にそんな声が響く。
俺は迷わずYESと言った。
そして……
「あのおねえちゃん?」
「だ、大丈夫!もし私の奴隷になっても絶対解放するから——」
「別に何ともないよ?」
「え?」
「なんでだろう……?」
「え……」
言葉がでないようだ。
まぁそうだろうな。契約に反しても奴隷にならない。
というか通知が行くらしい……彼女の頭に直接。
「も、もしかしたらまだ小さいから対象じゃなかったのかも……」
「そ、そうなんだ……よかったぁ……」
まぁ知ってたけど。
「じゃあおねえちゃん!またね!」
「あ……う、うん!またね!」
俺は家に帰る道がわからなかった。
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