第11話 決心
キュラスの話を聞いた私は、驚いて固まっていた。
「ラナン、ごめんね。なんとかしたかったんだけど、一応女神だから、人間界への直接的な関与はできないんだよね…」
そういってキュラスは頭を下げる。
「頭を上げてよ。むしろここまでやってくれたことに感謝したいぐらいだよ。」
私はそういったが、まだ呆然としていて、状況が整理できていない。
「となると、対策を考えないとな。」
リオが腕を組みながら言った。
「そうなんだよねぇ。」
キュラスがそう言ってから、3人の間には、沈黙が続いた。
「そういえば昔ラナンって、冒険者になりたがってたよな。」
リオが突然話しかけてくる。
「うん。お父さんに憧れて。」
「ごめん。」
突然リオが謝ってきたので、なんのことか分からなかったが、お父さんのことだと分かったのですぐに答えた。
「気にしないで。」
「何かあったの?」
キュラスがたずねてくる。
「私がちっちゃい頃、冒険者に憧れてた話。」
私がそう言うと、キュラスが目を大きく見開き
「それだぁ!!!」
と大きな声で言った。
「何か思いついたの?」
「うん!ラナンが冒険者になればいいんだ。」
キュラスはそういった。
「ごめんね。ちょっとそれは無理だ。」
私はせっかく案を考えてくれたキュラスに謝る。
「私のお父さん冒険者だったんだけど、とあるダンジョンに行ってから、行方知らずになっちゃって。」
「そんな事があったんだ。
変なこと聞いてごめんね。(それでリオくんがあやまってたんだ…)」
そう言ってキュラスは見るからにしょぼんとした顔をした。
「ううん。大丈夫だよ。今でも冒険者には憧れてるしね。」
私は、そう言ってキュラスを悲しませまいと作り笑いを向ける。
「そっか。」
キュラスはそう言って、悲しそうな顔をした。
どうやら、作り笑顔の効果はなかったようだ。
「でも、女神様がくだっさったスキルがあるから、どうにかなるんじゃないのか?」
「うん。一応、魔物とか、攻撃に特化した動物にもなれるように設定してあるよ!」
「だってよ。」
そう言いながらリオは私に微笑みかける。
「土台はあるんだから、後はお前が選ぶだけだぞ。」
リオの言葉を聞いて私の中で何かが吹っ切れた。
「私、お父さんみたいにいろんな人の役に立ちたい!」
私は手に力を込めて言った。
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