第9話元に戻れない!

しょうがないので私は猫の姿のままリオの家へ向かっていた。

普段外を歩いていると、じろじろ見られることがよくあるが、猫の姿だとそういったことが全く無いのには助かっている。

そんなことを考えているとリオの家に着いた。呼び出しのベルを鳴らそうか考えたが、リオのお母さんに見つかったらどうなるのか分からないので、あきらめた。

裏口から入るのも難しそうだったので、私は外からリオ部屋に行くことにした。

リオの部屋がある場所の窓が開いていたから、壁をよじ登って窓から入れば入れるはずだ。


「『よぉし!』」


私は、外壁に爪を立て登り始めた。

3分ぐらい登ったら、ようやくたどり着くことができた。


「『ふぅう』」


登りきるとついため息をついてしまった。


「『リオ』」


「なんでラナンの声が…って、猫⁉」


「『リオ、おどろかしてごめんね』」


「ラナンがどうして猫に⁉」


「『いやぁ実はスキルを使ったら、元にもどれなくなっちゃって…』」


「そもそもどうしてスキルなんか使ったんだ?」


そう聞かれたので、私は領主の息子(仮)の話をした。


「ラナン、ひょっとしたらそいつがお前をここの町からおいだすつもりかもしれない。」


「『えっ!』」


「そいつがもし、本当に領主の息子だったときのはなしだけどな…」


「『なら多分大丈夫だよ。私はあんなやつが、領主の息子な訳ないとおもうから。』」


「だったらいいんだけどな。」


この時私は完全にわすれていた。キュラスが言っていた、自分のことしか考えていない貴族の話を。


「さて。本題に戻るか。」


「『そうだね。』」


「ラナンは、女神さまと友達になったとか言ってたけど、ラナンがよんだら、ここに来たりしないのか?」


「『分かんないから、試してみる。』」


「おぅ。」


「『キュラス~』」


私はそういったが何も効果がなかったのを確認した。


「『だめだったね。』」


わたしがそういった瞬間、リオの部屋は、眩しいほどの光りに包まれた。

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