第7話 帰るまでが成人式

あの後質問攻めにあったが、30分ぐらいたってようやく解放された。


そんな成人式の帰り道、色々あったなぁと考えていたら、路地裏から泣き声が聞こえた。声が高かったので、おそらく子供のものだと思って、私は路地裏に駆け込んだ。

私が通っていた道は、たくさんの路地に繋がっていたので、ここと言う確証はなかったが、直感を信じ突き進んだ。私の予想は合っていたようで、泣き声は、だんだんと大きくなっていた。

そのまま走っていたら、泣いている子供の姿が見えた。薄暗い路地だがだいぶ目が慣れてきたようで、ちょっとぐらい離れていても見えるようになっていた。

私が子供の近くまで走ると、そこには子どもを蹴っている大人の姿が目に入った。

蹴っている人の周りには、取り巻きだと思われる人が2たり立っていた。

その光景を見て、私の中で何かがプツッと切れた気がした。

そこからは、何を考えるでもなく子どもと大人の間に入っていた。


「何か用かい?」


「用も何も、あなたはなんでその子を蹴っているの?」


「そんなことも分からないのか」


私は頷いた。

子どもを蹴っていたやつがため息を吐いた。


「顔はいいのに頭は悪いのか。」


男はそう言って私を嘲笑った。


「残念ながら。」


「なら教えてやろう。そいつが、店で売っているものをわたさないからだ。」


「普通、渡しませんけどね。」


私がそう言うと、男は怒り出した。


「お前、誰に対して言っているかわかっているのか!」


「いえ。」


「俺は、ここの領主の息子、デルフィ・クローバーだぞ!」


取り巻きたちも、知らないのか!と囃し立てる。


「領主様は知っていますけど、あなたは知りません。それにすごいのは領主様であって、あなたではありません。」


「そうか。本当に頭が悪いんだな。」


そういい終わったら、領主の息子(仮)が、声を張って言う。


「お前が、俺の奴隷になるんなら許してやろう。奴隷にならないんなら、頭が悪くても、さすがにわかるよな?」


いいたいことはわかったが、なんだか腹が立ったので、私はこのまま、頭が悪いふりをする。


「いえ。頭が悪いのでわかりません。」


「お前!」


怒った領主の息子(仮)が、私にストレートパンチを繰り出す。あまりにもわかりやすかったので私はひらりと避ける。


「怒って感情的な人の攻撃ほど避けやすいものはないですよ。」


そういいながら私は、ひらりひらりと、攻撃を避ける。


「お前ぇ!」


と言っても、だんだんスピードが上がってきて、避けづらくなってきた。

そうだ。スキルを使ってみよう!

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