第1回放送 深夜ラジオ ep.2

「ソレでは早速始めていきましょう、前回の放送から……ちょうど一週間、ですね。ありがとうございます」


 配信画面のコメント欄を開くとそこにはちょうど一週間たった旨を知らせるコメントがいくつかあった。視聴者数を確認すると、ちょうど30人。こんな時間に、こんな配信を見ている(聴いている?)人間が30人もいるものなのか。私の周りに満ちている深夜の静寂とは裏腹に、この画面のなかはひとの気配で溢れている。


 深夜テレビ、ラジオ、こうしたネット配信と深夜に起きている人間に向けて提供されるコンテンツはいくつかあるが、列挙した順に視聴者との距離が短くなっていく。そもそもテレビは双方向なコミュニケーションは取りづらく一方的なものになりがちで、深夜ともなれば生番組など皆無に等しい。テレビ放送は夜、眠るのだ。


 それがラジオになるとぐんと距離が近くなる。深夜でも生番組はやっているし、ネタをメールで募集してそれを元に話を広げたりもしている。最近ではSNSの投稿にも反応していたりするのだから、ならばそれを動画配信サイトでやればどうなるか、リアルタイム性どころかそのものとなり、双方向的コミュニケーションがコンテンツ提供の主従を維持し得る水際まで到達している。


「今回の一品めはこちら。品名は『放課後のクラスメイト』です」


>>pause<<

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