Midnight Radio Communications
遠久野仁
第1回放送 深夜ラジオ ep.1
「皆さんこんばんは、もしかしたら、おはようございます。深夜27時、夜でも朝でもない奇妙な時間に集った皆様のために、今日も『境界蒐集市場』開催いたします」
退屈な夜勤のお供にと垂れ流していた動画配信サイトから、そんな音声が流れてきた。時計を見上げると確かに深夜3時、丑三つ時も過ぎて辺りは静まり返っている。人の気配など当然なく、守衛室から見える国道でさえ車の往来もまばら、そんな時間だ。
深夜2時くらいまではゲーム配信や雑談アーカイブなどで暇を潰していた。ネタも尽き、特段見たくなるようなストックも無かったため、適当なMVをお任せで再生させていた。
何かのCMで聴いた覚えがあるようなバンドの曲が終わり、10秒程度の間をおいて再生されたのがこの音声だった。それこそ何かのCMか、あるいは音楽のイントロ部分にこんなナレーションを付け足した曲でも再生されたのだろうかとスマホの画面を確認すると、どうも違う。
画面は昔のテレビにあったような砂嵐、音声だけのライブ配信のようだ。
「この市場では、日常で出会した様々なモノをご紹介します。参加者の皆様同士でソレを交換していただくことも可能です」
モノ、ソレ。いまいち要領を得ないが、リスナーからのネタ募集で成り立っていることに大差はないのだろう。ゲリラ配信で妙な番組に出会う、それこそ『出会したモノ』だ。
退屈しのぎになるかどうか、判断するのは内容を聴いてみてからでよいだろう。それこそこんな時間だ、朝焼け以外誰も急ぎはしない……
>>pause<<
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